乳房一期再建を行う女性の数が増加

キャンサーコンサルタンツ

乳房切除術後に一期再建を行う女性の数が劇的に増加しており、これにはインプラント使用の増加が関連している、との研究結果がPlastic and Reconstructive Surgery誌に発表された。

乳癌治療には片側または両側乳房切除(片方または両方の乳房の切除)が必要となることがある。失った乳房の外観を取り戻すために、乳房切除後の乳房再建術を受ける選択ができる。研究によると、乳房一期再建には精神面でのQOLの向上に大きな効果があることが示唆されている。

乳房再建術は、近年その技術が洗練され、乳房切除術を受けたほぼすべての女性に良好に再建することが可能である。乳房再建の目的は、反対側に合う乳房をつくることである。再建にはインプラントのみを使用、自分の組織を使用、またはその両方を使用する方法がある。

研究者らは、全米のデータベースのデータを使用して、1998年から2008年の間に行われた乳房切除後の一期再建の傾向について評価した。この分析には、再建の方法(自家組織またはインプラント)、再建の要因などの情報を含む。

結果によると、約178,600件の乳房切除術のうち、51,400件で一期再建が行われた。この10年間で、一期再建が行われる率は約21パーセントから38パーセントに増加し、平均1年に5パーセントずつ増加していることを反映している。自家組織を使用する方法(患者自身の組織を使用)の件数は、この期間に大きな変化はなかったが、インプラントを使用する方法は、1年に約11パーセントの割合で劇的に増加した。これには、すべてのインプラント使用の合計が203パーセントに拡大したことが関連する。

一期再建の増加に影響を与えたさまざまな要因には、乳癌のリスクが高い女性が予防のために両側切除を行う率が、研究対象の10年間で1年に約17パーセント増加したことが挙げられる。両側切除を行う女性は、片側切除を行う女性と比べるとインプラントによる再建を行う率が2倍多くなる傾向がみられた。このほかの要因としては、1998年に施行された女性の健康がんの権利法(WHCRA)による、乳房切除後の再建術の保険適用がある。

研究者らは、一期再建の増加は、自家組織による方法からインプラントによる方法へのパラダイムシフトに関連すると結論付けた。

参考文献;
Albornoz CR, Bach PB, Mehrara BJ, et al. A paradigm shift in U.S. breast reconstruction: increasing implant rates. Plastic & Reconstructive Surgery. 2013; 131(1): 15–23.


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翻訳担当者 皆川悦子

監修 原 文堅(乳癌/四国がんセンター)

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