乳房小線源治療は、より多くの合併症を起こす可能性がある

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小線源治療は、標準の放射線照射法より多くの傷や皮膚の合併症に関係しているという研究結果がJournal of Clinical Oncology誌に発表された。

乳房温存手術(腫瘍摘出手術)を受けた早期乳癌患者は、癌の再発リスクを減らすためにその後も一般的に放射線治療が行われる。放射線治療は、しばしば身体の外側の機械から全乳房に照射される(外部照射療法)。この治療は、通常数週間にわたり毎日照射される。

乳房小線源治療は、乳房温存手術を選択した患者にとって外部照射療法に代わるものである。小線源治療中、放射性物質を含む特別なカテーテルが、癌摘出域へ直接設置される。これは、しばしば約一週間通して毎日二度行われる。この手段は、従来の外部照射療法よりも少ない期間で済むため、患者にとってとても便利な選択になるであろう。しかしながら乳房小線源治療の安全性や有効性に関する情報は、やや限界がある。

この研究において研究者らは、一年間の追跡調査での全乳房照射(WBI)と小線源治療での傷や皮膚、深い組織や骨の合併症のすべてを比較した。この研究には、2008年から2009年に乳房温存手術を受け、小線源治療かWBIを受けた66才から94才までのメディケア受給者がおよそ30,000人含まれていた。

異なった地域のいたるところで数値が変化したが、この研究結果では、患者の16%が、小線源治療を受けたと示した。小線源治療を受けた患者が全くいない地域もあれば、他の地域での施行率は、70%であった。収入、健康全般や化学療法の有無等の患者特性を説明した後、小線源治療を受けた患者の35%が、WBIを受けた患者の18%と比較すると合併症を経験していたことが分かった。合併症は、傷や皮膚に関連した感染症や他の潰瘍であった。

研究者らは、一年後、傷や皮膚の合併症は、WBIを受けた患者と比較すると小線源治療を受けた患者の方が著しく高いと結論付けた。実際、小線源治療は、WBIより傷や皮膚の合併症が、16.9%とより高値であった。

乳房温存手術後放射線治療を必要とする患者は、主治医と様々な照射法の危険性と安全性について話し合うことをお勧めする。

参考文献:
Presley CJ, Soulos PR, Herrin J, et al. Patterns of use and short-term complications of breast brachytherapy in the national Medicare population from 2008-2009. Journal of Clinical Oncology. Published early online October 22, 2012. doi: 10.1200/JCO.2012.43.5297


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翻訳担当者 上野 葉

監修 中村光宏(医学放射線/京都大学大学院医学研究科)

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