アスピリンの日常的使用により早期乳癌女性の死亡率と遠隔再発が低下

キャンサーコンサルタンツ
2010年2月

アスピリンを日常的に使用している乳癌診断後1年以上の早期乳癌患者では遠隔再発のリスクと死亡率が低下することがNurses’ Health Studyに参加する研究者により報告された。本試験の詳細は、2010年2月16日付Journal of Clinical Oncology誌のオンライン版に掲載された[1]。

長期間アスピリンを使用すると心血管系による死亡率が低下し、ある種の癌の発生率が減少することが示されている。現時点のデータからアスピリンを中程度の用量で定期的に使用すると、大腸癌と乳癌の発生に影響があることが示唆されている。Nurses’ Health Studyの研究者は以前の研究で、アスピリンの低〜中程度の使用により全原因死亡率が低下することを報告している。このうち癌死亡にある程度の減少がみられたのは使用開始から10年が経過してからであった。

ハーバード大学医学部の最近の報告によると、大腸癌と診断された後にアスピリンを日常的に使用するとCOX-2を発現する大腸癌のリスクまたはそれによる死亡が減少するという。

今回のNurses’Health Studyでは、乳癌の診断を受けてから1年間生存しているステージ 1〜3の女性4,164人を対象に、その転帰を評価した。対象者のうち乳癌による死亡者数は341人であった。
死亡率および遠隔転移がアスピリン使用に関連する相対リスク(RR)は、以下の通りである。

  • アスピリンを使用しない場合と比較して、週1日のアスピリン使用では乳癌死亡に影響は認められなかった(RR=1.07)。遠隔再発のRRは0.91であった。
  • 週2日〜5日のアスピリン使用では、乳癌死亡のリスクは減少した(RR=0.29)。遠隔再発のRRは0.40であった。
  • 週6日〜7日アスピリンを使用しても、それ以上乳癌死亡のリスクは低下しなかった(RR=0.36)。遠隔再発のRRは0.57であった。

コメント:これらのデータから、アスピリンの日常的使用は早期乳癌女性において死亡と遠隔再発を低下させることが示唆される。

参考文献:
[1] Holmes MD, Chen WY, Li L, et al. Aspirin intake and survival after breast cancer. Journal of Clinical Oncology [early online publication]. February 16, 2010.


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翻訳担当者 山下 裕子

監修 橋本 仁(獣医学)

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