エビスタ(ラロキシフェン)の冠動脈性心疾患を有する女性における研究

キャンサーコンサルタンツ
2006年7月

試験に関係する研究者らは、エビスタ(ラロキシフェン)が冠動脈性疾患(CHD)を有する女性の乳癌のリスクを減少させるが、致死的脳出血のリスクは上昇させることを報告した。この大規模な多施設ランダム化比較対照試験の詳細は2006年7月13日発行のThe New England Journal of Medicineで報告された。

エビスタは選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)で、SERMによる閉経後女性の骨粗鬆症の治療が米国食品医薬品局により認可されている。MORE(The Multiple Outcomes of Raloxifene Evaluation)試験と呼ばれるエビスタの閉経後女性における骨粗鬆症治療の研究は、プラセボに比べ4年間のエビスタによる治療は骨粗鬆症を閉経後女性の浸潤性乳癌を72%減少させたという二次結果を示した。米国と英国の研究者らもまた骨粗鬆症を患う閉経後女性の間でエビスタが浸潤性乳癌の発生を66%減少させたと報告した。

現在の試験は1998年に始まり、エビスタがCHDを有する女性に有益な効果をもたらすかどうかを定めることを目的としていたが、研究が始まった後、乳癌の予防が二次的課題となった。この研究はCHDと診断された女性、またはCHDを発症する危険因子を有する女性10,000人以上を含み、患者はエビスタまたはプラセボを5年間服用するよう無作為に分けられた。平均観察期間は5.6年だった。以下の観察が報告された。

  1. エビスタグループとコントロールグループ間にCHDによる死亡、非致命的心筋梗塞、または急性冠症候群による入院の割合における有意差はみられなかった。
  2. 乳癌はエビスタで治療を受けた女性の間で44%減少した。
  3. 致命的脳出血の発生がエビスタグループで49%増加した。
  4. 血栓塞栓性事象の発生がエビスタグループで44%増加した。
  5. 椎骨骨折がエビスタグループで33%減少した。
  6. これらの観察結果はCHDと診断された女性とCHDの危険因子を有する女性の間に違いはなかった。

著者らはエビスタがCHDを有する女性の心臓疾患は防がなかったが、乳癌の発症率を減少させたと結論付けた。しかし、エビスタは副作用を増加させ、顕著な延命効果はもたらさなかった。

コメント

エビスタは乳癌のリスクが高く、CHDに罹患していない女性の癌予防としてやはり妥当な選択かもしれない。この研究はCHDまたはCHDの危険因子を有する女性を対象に行われ、乳癌のリスクの高い女性を対象に患者を選ぶことによって異なる結果をもたらしたかもしれない。しかし、乳癌とCHDのリスクの高い女性は癌予防としてエビスタを服用する際、脳出血の危険性の増加について注意を受けるべきである。


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved. These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein. Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc. 本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。 Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 ラスコ 

監修 真庭 理香(薬学)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

乳がんに関連する記事

【ASCO2024年次総会】T-DXd(エンハーツ)がホルモン療法歴のある乳がん患者の無増悪生存期間を有意に改善の画像

【ASCO2024年次総会】T-DXd(エンハーツ)がホルモン療法歴のある乳がん患者の無増悪生存期間を有意に改善

ASCOの見解(引用)「抗体薬物複合体(ADC)は、乳がん治療において有望で有益な分野であり、治療パラダイムにおける役割はますます大きくなっています。トラスツズマブ デルクステ...
【ASCO2024年次総会】若年乳がん患者のほとんどが治療後に妊娠・出産可能の画像

【ASCO2024年次総会】若年乳がん患者のほとんどが治療後に妊娠・出産可能

ASCOの見解(引用)「乳がんの治療後も、妊娠や出産が可能であるだけでなく安全でもあることが、データが進化するにつれて次々と証明されてきています。この研究では、妊娠を試みた乳が...
欧州臨床腫瘍学会(ESMO)乳がん会議2024の画像

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)乳がん会議2024

ESMO 乳がんBreast Cancer 2024が5月15日から17日にかけてドイツのベルリンで開催され、乳がんの最新研究が発表される。世界中からベルリンに集まった参加者は、著名な...
次世代PARP阻害薬サルパリブ、相同組換え修復不全乳がんで臨床的有用性を示すの画像

次世代PARP阻害薬サルパリブ、相同組換え修復不全乳がんで臨床的有用性を示す

ポリADP-リボースポリメラーゼ(PARP1)の選択的阻害薬であるsaruparib[サルパリブ]が、特定の相同組換え修復(HRR)欠損を有する乳がん患者に対して有望な客観的奏効率と無増悪生存期間を示した。この結果は第1/2相PETRA試験によるもので、4月5日から10日まで開催された米国癌学会(AACR)2024年年次総会で発表された。