CHEK2遺伝子の変異は乳癌のリスクを高める

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CHEK2遺伝子の変異は乳癌のリスクを高め、乳癌の家族歴を持つ女性においては特に乳癌のリスクが高まる。これらの結果はClinical Oncology誌で発表された。

BRCA1およびBRCA2遺伝子の変異は乳癌と卵巣癌の生涯リスクを著しく高めることが知られているが、CHEK2のような他の遺伝子の変異も乳癌のリスクを同様に高める可能性がある。

CHEK2遺伝子変異は乳癌のリスクを最大3倍にまで高めることが報告されている。しかしながらCHEK2遺伝子変異が関連した乳癌のリスクは、乳癌の家族歴の有無によって変化しうる。CHEK2遺伝子変異は、乳癌家族歴を持つ女性において乳癌のリスクをさらに大きく高める可能性がある。

CHEK2遺伝子変異と乳癌の家族歴、そして乳癌のリスクとの関係を調べるため、研究者たちはポーランドである研究を行った。BRCA1陰性の乳癌を持つ7000人以上の女性、そして乳癌を持たない4000人以上の女性についての情報が集められた。研究者たちは、第一度近親者と第二度近親者の両方の乳癌家族歴を考慮した。第一度近親者とは、両親や子供、兄弟姉妹である。第二度近親者とは、祖父母や孫、叔父や叔母、甥や姪、片方の親が違う兄弟姉妹である。

  • ある特定のタイプのCHEK2遺伝子変異(切断型突然変異)が、乳癌を持つ女性のうち3%に見つかり、乳癌を持たない女性のうちでは1%以下であった。
  • 第一度あるいは第二度近親者に乳癌患者がいる女性の間では、CHEK2遺伝子変異を持つ女性はCHEK2遺伝子変異を持たない女性に比べて、乳癌リスクが5倍高かった。乳癌家族歴のない女性の間では、CHEK2遺伝子変異を持っていた場合乳癌リスクが3倍高かった。
  • 乳癌の生涯リスクを6%(ポーランドの一般集団で見られるリスクの割合であり、これは合衆国のものより低い)と仮定すると、CHEK2遺伝子変異を持つ女性の乳癌生涯リスクは、乳癌の家族歴がない場合は20%、第二度近親者に乳癌患者が一人いる場合は28%、第一度近親者に乳癌患者が一人いる場合は34%、第一度および第二度近親者の両方に乳癌患者がいる場合は44%と概算された。

遺伝子変異のパターンと乳癌の基礎的リスク(ベースラインリスク)は国によって異なるため、これらの結果は合衆国には適応されない可能性もある。しかしながらこれらの結果は、CHEK2遺伝子変異がいくつかのケースの乳癌に関係していること、そして乳癌リスクはCHEK2遺伝子変異および乳癌家族歴の両方を持つ女性で特に高い可能性があることを示唆している。

参考文献:

Cybulski C, Wokolorczyk D, Jakubowska A et al. Risk of breast cancer in women with a CHEK2 mutation with and without a family history of breast cancer. Journal of Clinical Oncology. Early online publication August 29, 2011.


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翻訳担当者 林 くれは

監修 北村 裕太(農学・医学)

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