FDAが進行期軟部肉腫に対する治療薬Votrient (パゾパニブ)を承認/FDAニュース

FOR IMMEDIATE RELEASE:2012年4月26日
Media Inquiries: Erica Jefferson, 301-796-4988
Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

FDAが進行期軟部肉腫に対する治療薬Votrient (パゾパニブ)を承認

米国食品医薬品局(FDA)は本日、化学療法の治療歴がある軟部肉腫患者の治療薬としてVotrient(パゾパニブ)を承認した。軟部肉腫は、筋肉、脂肪、線維組織、および他の組織などの軟部組織に発生する癌である。

Votrientは、固形腫瘍の増殖と生存に必要な新しい血管の形成(血管新生)を抑制することで作用する錠剤である。

軟部組織肉腫は多種のサブタイプが存在する稀な癌であるが、米国では毎年約10,000人に発症している。Votrient の承認に至った臨床試験では、肉腫の20種類を超えるサブタイプが対象として含まれていた。本薬剤は、脂肪細胞の軟部肉腫および消化管間質性腫瘍を有する患者の治療薬としては承認されていない。

「軟部肉腫は多様な腫瘍のグループであり、この種の腫瘍に対するVotrientの承認は数十年間で初めての承認となります。肉腫に対する治療薬の開発は、疾患数が限られており、また肉腫には多種のサブタイプが存在することから特に困難であるとされてきました」と、FDA医薬品評価研究センターの血液腫瘍製品室長であるRichard Pazdur医師は述べた。

Votrientの安全性および有効性は、化学療法の治療歴がある進行性の軟部組織肉腫患者369人を対象とした1件の臨床試験により評価された。患者はVotrient投与群またはプラセボ投与群に無作為に選択された。本試験の目的は、癌の進行なしに患者が生存した期間(無増悪生存期間)を判定することであった。Votrient投与群では無増悪生存期間の中央値が4.6カ月だったのに対し、プラセボ投与群では1.6カ月であった。

Votrient投与群で最も高頻度の副作用は、疲労感、下痢、悪心、体重減少、高血圧、食欲減退、嘔吐、腫瘍および筋肉痛、毛髪変色、頭痛、味覚異常、呼吸困難、および皮膚変色であった。

Votrientの枠囲警告では、患者および医療従業者に対し、致命的疾患となりうる肝障害(肝毒性)の潜在的リスクについて警告している。患者への肝機能のモニタリングを実施し、肝機能の低下が認められた場合は治療を停止するべきである。

Votrientは本適応に対してオーファンドラッグ指定を受けた。オーファンドラッグ指定は、米国において20万人未満の患者に発症した疾患を治療するための薬剤に対して与えられる。Votrientは、進行性腎臓癌の治療薬として2009年10月に最初に承認されている。

Votrientは、ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パークに位置するグラクソ・スミスクライン社が販売している。

詳しい情報については以下を参照のこと:

FDA: Office of Hematology and Oncology Products(血液腫瘍製品室)〔原文〕

FDA: Approved Drugs: Questions and Answers(承認薬:質問と回答)〔原文〕

******                                                                                                                                                      栃木和美 訳
東 光久(血液癌・腫瘍内科領域担当/天理よろづ相談所病院・総合内科)監修 
******

原文

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肉腫全般に関連する記事

FDAが進行胞巣状軟部肉腫にアテゾリズマブを承認の画像

FDAが進行胞巣状軟部肉腫にアテゾリズマブを承認

進行した胞巣状軟部肉腫(ASPS)に対する治療法が、米国国立衛生研究所(NIH)に属する米国国立がん研究所(NCI)が主導した臨床試験をもとに初めて承認された。免疫療法薬のアテゾリズマブ(販売...
転移のない軟部肉腫に短期放射線療法は通常療法と同等に有効の画像

転移のない軟部肉腫に短期放射線療法は通常療法と同等に有効

寡分割照射により、創傷の合併症リスクを増加させることなく同等の腫瘍制御を達成 転移のない軟部肉腫(STS)で術前放射線治療が必要な患者は、5週間ではなく3週間の寡分割照射を安全に受けることが可能であり、この治療には同等の腫瘍制御効果があり、
平滑筋肉腫患者・家族の希少がん研究プロジェクト「Count Me In」の画像

平滑筋肉腫患者・家族の希少がん研究プロジェクト「Count Me In」

新たな平滑筋肉腫プロジェクトは、既存の取り組みであるCount Me In's Osteosarcoma Projectに加わり、患者と協力して希少がんの科学的発見を加速させている。 Count Me In(カウント・ミー・イン、「私を参加
ニロガセスタットは希少軟部腫瘍であるデスモイド腫瘍の予後を改善【ESMO2022】の画像

ニロガセスタットは希少軟部腫瘍であるデスモイド腫瘍の予後を改善【ESMO2022】

・Notch経路を標的とした初の第3相試験により、まれな腫瘍の予後が改善 ・Notchを標的とするガンマセクレターゼ阻害剤であるnirogacestat[ニロガセスタット]は、デスモイド腫瘍患者の無増悪生存期間を延長し、症状を軽減 ・希少が