FDAが転移非小細胞肺がんにテポチニブを迅速承認

202123日、米国食品医薬品局(FDA)は、間葉上皮転換(MET)エクソン14スキッピング変異を有する転移非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者にテポチニブ(販売名:テプミトコEMD Serono Inc.社)を迅速承認した。

METエクソン14スキッピング変異を有する進行または転移NSCLC患者152人を対象とした多施設共同非ランダム化非盲検マルチコホート試験、VISION試験(NCT02864992)において、有効性が示された。患者は、疾患進行または忍容できない毒性が認められるまで、テポチニブ450 mg11回経口投与された。

主要有効性評価項目は、盲検化された独立審査委員会がRECIST 1.1に基づいて評価した奏効率(ORR)および奏効期間であった。治療歴のない患者69人のうち、ORR43%(95%信頼区間[CI]32%~56%)で、奏効期間の中央値は10.8カ月(95CI6.9~推定不能)であった。治療歴のある患者83人のうち、ORR43%(95 CI33%~55%)で、奏効期間中央値は11.1カ月(95 CI9.518.5)であった。

最もよくみられた副作用(20%以上)は、浮腫、疲労、悪心、下痢、筋骨格痛、および呼吸困難であった。また、テポチニブにより、間質性肺疾患、肝毒性、および胚・胎児毒性を発症することもある。

テポチニブの推奨用量は450 mgであり、11回食事とともに経口投与する。

テプミトコの全処方情報はこちらを参照。(*日本語の添付文書はこちらを参照)

本適応は奏効率および奏効期間に基づいて迅速承認された。本適応の継続的な承認には、検証的試験において臨床的有用性の検証および説明が条件となる可能性がある。FDA迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」(the Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

本審査には、臨床に関するあらゆる申請の出願に先立ちデータの提出を簡素化したReal-Time Oncology Review、FDAによる評価を円滑に進めるために申請者が自発的に申請するOncology Center of Excellence Assessment Aid および Product Quality Assessment Aid(PQAA)が使用された。

本審査は、FDA Oncology Center of Excellenceが主導するProject Orbisの下で実施された。Project Orbisは、国際的なパートナー間で抗がん剤の同時申請および審査をする枠組みである。本申請にあたり、他の規制当局への提出時期の関係上、Project Orbisが変更された。FDAはカナダ保健省、オーストラリア医薬品行政局およびスイス医薬品局と共同で本審査を実施した。

*サイト註:本剤は、日本では、2019年11月に希少疾病用医薬品指定、2020年3月に世界で初めて承認されています。

翻訳担当者 小石みゆき

監修 小宮武文(腫瘍内科・Parkview Cancer Institute)

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