FDAが転移非小細胞肺がんにカプマチニブを承認

FDAが転移非小細胞肺がんにカプマチニブを承認

2020年5月6日、米国食品医薬品局(FDA)は、FDA承認試験で検出された間葉上皮転換(MET)エクソン14スキッピング変異を有する進行非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者を対象として、capmatinib[カプマチニブ](販売名:TABRECTA、Novartis社)を迅速承認した。

本日、FDAは併せて、カプマチニブのコンパニオン診断薬としてFoundationOne CDx assay(Foundation Medicine, Inc.社)も承認した。

有効性は、METエクソン14スキッピング変異が確認された進行NSCLC患者97人が参加した、多施設共同、非ランダム化、非盲検、多コホートのGEOMETRY mono-1試験(NCT02414139)で示された。患者には、疾患進行もしくは忍容できない毒性が認められるまで、カプマチニブ400mgを1日2回経口投与した。

主要有効性評価項目は、RECIST v1.1に準拠した盲検下独立判定委員会の評価に基づく奏効率(ORR)、および奏効期間であった。未治療の患者28人のうち、奏効率は68%(95%信頼区間[CI]:48~84)、奏効期間は12.6カ月(95%CI:5.5~25.3)であった。治療歴のある患者69人のうち、奏効率は41%(95%CI:29~53)で、奏効期間は9.7カ月(95%CI:5.5~13.0)であった。

最もよくみられた副作用(患者の20%以上)は、末梢浮腫、悪心、疲労、嘔吐、呼吸困難、食欲減退だった。また、カプマチニブは、間質性肺疾患、肝毒性、光線過敏症、胚・胎児毒性を引き起こす可能性がある。 細胞株を用いた初期の基礎研究において光毒性が認められたことを考えると、患者は日光に対してより過敏になる可能性があり、カプマチニブの服用中は、皮膚を覆う、日焼け止めを使用する、日焼けをしない、といった予防的手段を取るように患者に勧めるべきである。

カプマチニブの推奨用量は、400mgを食前・食後に関わらず1日2回、経口投与する。

TABRECTAの全処方情報はこちらを参照。

本適応は、奏効率および奏効期間に基づき、迅速承認制度のもとで承認された。本適応の継続的な承認には、検証的試験における臨床的有用性の検証および説明が条件となる可能性がある。

本審査には、FDAによる評価を円滑に進めるために申請者が自発的に申請を行うAssessment Aidが使用された。本申請はFDAの目標期日の3カ月前に承認された。

FDAにより、カプマチニブは、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)および画期的治療薬の指定を受けた。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、企業向けガイダンス「重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」(Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 中島 節

監修 高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学奈良病院)

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