初期肺がんに対する術前アテゾリズマブ免疫療法は有望

ASCO年次総会で発表される大規模多施設試験の中間結果

手術可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象にした免疫チェックポイント阻害剤による術前化学(ネオアジュバント)療法は忍容性が良好で、多くの場合、顕著な腫瘍細胞死を引き起こした。これは、ダナファーバーがん研究所、ブリガム&ウイメンズ病院のほか9つの研究センターの研究員らが関与する大規模多施設臨床試験によるもので、その中間結果は米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表される。

本試験には、手術で切除可能なステージ1B~3BのNSCLC患者が参加した。患者に対して、がん細胞上の免疫チェックポイントタンパク質PD-L1を阻害するアテゾリズマブ投与を2サイクル行った後、肺がん組織を切除する手術を実施した。

本日報告される結果は本試験に最初に登録した101人に関するもので、そのうち90人がアテゾリズマブ投与後に手術を受けた。がんにドライバー遺伝子変異が認められた8人を除いて、15人(全体の18%)が治療に対して病理学的奏効(手術で切除した腫瘍組織で検出された生存がん細胞が10%以下)を示した。4人は病理学的完全奏効を示し、ネオアジュバンド療法後に残存がんがなかった。患者72人は疾患が進行せず、4人は疾患が進行した。

治療に関連するグレード3または4(重篤または緊急)の有害事象は、患者90人のうち6人に起きた。

「免疫チェックポイント阻害療法は進行(転移)肺がん患者の標準治療の一部となっており、本試験はそれが手術可能な初期ステージの肺がんにも有益である可能性を示唆しています」と本試験の筆頭著者である、ダナファーバー/ブリガム&ウイメンズがんセンターの上級医であるDavid Kwiatkowski医学博士は述べた。

研究者らは、肺がん(非小細胞局所的がん/小細胞がん/ほかの胸部がん)セッションでアブストラクト#8503をMcCormick PlaceのホールD2において6月1日(土)午後2:15(中部時間)に発表する。

本試験の上級著者はオハイオ州大学のDavid P.Carbone医学博士である。共著者は以下のとおりである。Valerie Rusch, MD, and Jamie Chaft, MD, of Memorial Sloan Kettering Cancer Center; Bruce Johnson, MD, of Dana-Farber; Alan Nicholas, PhD, See Phan, MD, Katja Schulze, PhD, and Ann Johnson, MBA, of Genentech Inc.; Ignacio Wistuba, MD, of MD Anderson Cancer Center; Robert Merritt, MD, of Ohio State University; Jay M Lee, MD, of UCLA David Geffen School of Medicine; Paul Bunn, MD, of the University of Colorado; Yan Tang, PhD, of Brigham and Women’s; Saiama N Waqar, MD, and Alexander Patterson, MD, of Washington University School of Medicine; Eric Haura, MD, and Eric M. Toloza, MD, of H. Lee Moffitt Cancer Center; and Karen L Reckamp, MD, and Dan Raz, MD, of City of Hope Comprehensive Cancer Center. 本試験はGenentech Inc.社および肺がん研究財団の支援を受けた。

翻訳担当者 有田香名美

監修 吉松由貴(呼吸器内科/飯塚病院)

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