FDAが非小細胞肺がん(TPS ≥1%)一次治療にペムブロリズマブの適応を拡大
2019年4月11日、米国食品医薬品局(FDA)は、切除不能もしくは根治的化学放射線療法が適応でないステージ3非小細胞肺がん(NSCLC)患者、または転移を有するNSCLC患者の一次治療にペムブロリズマブ(商品名キートルーダ:メルク社製)を承認した。適応患者は腫瘍にEGFRまたはALK遺伝子変異がないこと、かつFDA承認検査によるPD-L1発現率(Tumor Proportion Score [TPS])が1%以上である必要がある。
ペムブロリズマブはすでに、腫瘍PD-L1 発現率が50%以上の転移を有するNSCLC患者の一次治療に用いる単剤療法として承認されている。
今回の承認は、転移を有するNSCLCへの全身治療歴がなく、腫瘍のPD-L1発現率が1%以上のステージ3または4のNSCLC患者1,274人を対象としたランダム化多施設共同、非盲検、実薬対照KEYNOTE‑042(NCT02220894)試験に基づいている。PD-L1発現率は、PD-L1 IHC 22 C 3 pharmDxキットを用いた免疫組織化学アッセイ法により測定した。
患者は、3週間ごとにペムブロリズマブ200 mgを静脈内投与する群、カルボプラチン+ペメトレキセドまたはパクリタキセル(研究者らがいずれかを選択)併用レジメン投与群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。患者のランダム化はECOG全身状態 (PS)、がんの組織型、患者の居住地域、およびPD-L1発現率(TPS50%以上対TPS 1〜49%)により層別化して行った。
TPS50%以上のNSCLCサブグループ、TPS20%以上のNSCLCサブグループ、および全体集団(TPS1%以上)における全生存期間(OS)が主要有効性評価項目であった。本試験では、上記3集団すべてにおいて、ペムブロリズマブ群の方が、化学療法群と比較して統計的に有意な生存の改善を示した。
TPS1%以上の集団(全体集団)における全生存率(OS)中央値は、ペムブロリズマブ群16.7カ月対化学療法群12.1カ月(各項目の数値:ハザード比 (HR) 0.81、95%信頼区間 (CI):0.71、0.93、p = 0.0036)であった。TPS20%以上のサブグループにおけるOS中央値は、ペムブロリズマブ群17.7カ月対化学療法群13.0カ月(各項目の数値:HR 0.77、95%CI:0.64、0.92、p = 0.004)であった。TPS50%以上のサブグループにおけるOS推定中央値は、ペムブロリズマブ投与を受けた患者は20カ月、化学療法を受けた患者は12.2カ月(各項目の数値:HR 0.69、95%CI:0.56、0.85; p = 0.0006)であった。無増悪生存期間および奏効率はどの集団においても群間に有意差はなかった。
KEYNOTE-042試験でペムブロリズマブ単剤投与を受けた患者のうち、少なくとも10%の患者で報告された有害事象として、倦怠感、食欲不振、呼吸困難、咳、発疹、便秘、下痢、嘔気、甲状腺機能低下症、肺炎、発熱、および体重減少が最も多くみられた。
NSCLCに対するペムブロリズマブ推奨量は200mgであり、3週間ごとに30分間かけて静脈内投与(IV)することとしている。
キートルーダの全処方情報はこちら。
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
肺がんに関連する記事
RET融合陽性非小細胞肺がんに対するセルペルカチニブ治療は東アジアの患者に有効
2024年10月3日
FDAが、非小細胞肺がんにラゼルチニブとアミバンタマブ併用を承認
2024年9月4日
治療困難なKRAS変異肺がんモデルにおいて、活性型RAS阻害薬が抗腫瘍効果をもたらす
2024年8月28日
肺がん、食道がん、鼻咽頭がんの治療の進歩ー日本開催ASCOブレークスルー会議
2024年8月23日