アファチニブが肺がんの転帰を改善

アファチニブが肺がんの転帰を改善

キャンサーコンサルタンツ

分子標的治療薬アファチニブ(ジオトリフ)はエルロチニブ(タルセバ)に比較して肺扁平上皮がん患者の転帰を改善する。これらの結果は最近、Lancet Oncology誌に公表された。

肺がんは世界中で依然としてがん関連死因の第一位である。全米では、NSCLC(non-small cell lung cancer:非小細胞肺がん)は肺がん患者全体の75~80%を占める。ここ数年において治療成績は改善しているが、進行期の肺がん患者の大部分が依然として肺がんで亡くなっている。そのため、新規の治療法の必要性が極めて高い。

肺がんは、がんが成長する肺の内部の細胞の種類によって数種類に分類される。さらに、さまざまな遺伝子変異やタンパク質の配列は、特定治療への奏効など、がん細胞の特性に影響を及ぼす。

上皮成長因子受容体(EGFR)は、細胞増殖と拡大に関与する細胞内経路に関わる。がん細胞の中には過剰に活動するEGFR経路を有するものがあり、がん細胞の複製と身体の他部位への転移の原因となる。これらのがんはEGFR陽性と呼ばれる。

現在、医療機関ではがん細胞を検査し、EGFR陽性であるかどうかを判定することが可能である。EGFR陽性の肺がん患者に対しては、EGFR経路を標的とする有効薬剤を使用できるため、この判定結果は重要な情報である。

その上、上記以外の遺伝子変異やタンパク質発現も同定されてきており、EGFR陽性がん患者が最適な治療を選択する際に役立っている。

研究者らは最近、臨床試験を実施し、EGFR経路をさまざまな方法で標的とする2種類の薬剤を比較した。試験に参加した患者を2つの治療群、アファチニブ治療群とエルロチニブ治療群に分けた。

試験には20カ国以上から患者約800人が参加した。患者全員が進行性肺扁平上皮がんを有し、過去に治療を受けていた。

データ解析時、全生存期間および無増悪生存期間の中央値で、アファチニブ治療群はエルロチニブ治療群よりも優れていた。

疾病コントロールでもアファチニブ治療群はエルロチニブ治療群よりも優れていた。

同研究者らは、アファチニブが進行性肺扁平上皮がん患者にとって有効な治療選択肢になるであろうと結論づけた。

参考文献:
Soria J-C, Enriqueta F, Cobo M, et al. Afatinib versus erlotinib as second-line treatment of patients with advanced squamous cell carcinoma of the lung (LUX-Lung 8): an open-label randomised controlled phase 3 trial. The Lancet Oncology;16(8):897-907. Available at: http://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(15)00006-6/abstract


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 岐部幸子

監修 小宮武文(腫瘍内科/カンザス大学医療センター)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肺がんに関連する記事

米FDAが非扁平上皮非小細胞肺がんにセバベルチニブを迅速承認の画像

米FDAが非扁平上皮非小細胞肺がんにセバベルチニブを迅速承認

2025年11月19日、米国食品医薬品局(FDA)は、全身療法歴のある局所進行または転移性の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)成人患者のうち、FDA承認済み検査でHER2(ERBB...
手術可能な中皮腫に術前・術後ニボ+イピの安全性、有効性を初めて示した臨床試験の画像

手術可能な中皮腫に術前・術後ニボ+イピの安全性、有効性を初めて示した臨床試験

ジョンズ・ホプキンスのキンメルがんセンターとブルームバーグ・キンメルがん免疫療法研究所の研究者らが主導した新たな研究によると、手術前後の併用免疫療法薬を用いた新たな治療法が、手術可能な...
EGFR変異非小細胞肺がんで、オシメルチニブと化学療法の併用が全生存期間を延長の画像

EGFR変異非小細胞肺がんで、オシメルチニブと化学療法の併用が全生存期間を延長

標準の一次治療であるEGFR-TKI療法に化学療法の追加で有益性を確認: ダナファーバーが共同で主導した第3相FLAURA2試験の最終解析

EGFR変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCL...
肺がんの新たな局面:喫煙歴のない若年女性の画像

肺がんの新たな局面:喫煙歴のない若年女性

主なポイント:肺がんは若い女性や非喫煙者においてますます多く診断されるようになっている。新規肺がん診断のほぼ20%を非喫煙者が占めている。住宅内のラドン濃度を測定することは、肺...