米国予防医療作業部会(USPSTF)が肺癌高リスク者の検診を推奨

キャンサーコンサルタンツ

米国予防医療作業部会(U.S. Preventive Services Task Force :USPSTF)は、肺癌のリスクが高い人々を対象とした年1回の低線量CTによる検診を推奨しており、これにより相当数の肺癌関連死亡を予防することができるとしている。この検診の推奨度(案)はBである。

肺癌は男女ともに米国における癌死亡の最も多い原因である。本疾患は治療困難な進行期に発見されることが多い。

癌検診には、無症状の人々において早期の癌を検出する検査の適用も含まれている。乳癌、大腸癌および子宮頸癌などの癌では、検診が癌死亡率の低下に貢献してきた。

しかし、肺癌の早期検出は、これらの癌に比べ困難であることが証明されている。日常臨床に新規の検診法を適用するためには、その検診法を用いることにより疾病の転帰改善につながるほど早期に癌を同定することが必要であり、経済的に実行可能かつ容認できる精度で癌を検出できなくてはならない。

低線量CT検査は、胸部X線検査と比べ、より小さい結節を同定できる特別な種類の画像検査法であるため、肺癌検診の強力な候補とされている。低線量CTによって肺癌を早期に発見することができる一方、偽陽性(癌でないのに癌と診断されること)の判定もなされうる。偽陽性判定が出た結果、不必要な侵襲的治療が行われ致命的な合併症を引き起こしかねないことから、低線量CTは標準使用には適さないとみられる。しかし、現在喫煙中または過去に喫煙歴がある高齢者などの高リスク集団では、低線量CTを用いた検診の有益性は害を上回ることが考えられる。

肺癌発症の最大の危険因子は喫煙であり、米国における全肺癌のおよそ85%に関連がある。肺癌を発症するのは55歳を超えてからが最も多いことから、加齢も危険因子の1つである。

USPSTFはエビデンスを再評価後、30パックイヤー以上の喫煙歴があり、現在喫煙中または過去15年以内に禁煙した55~80歳の人々に対して肺癌検診を実施する意義があると結論づけた。「1パックイヤー」とは、煙草を平均して1日1箱1年間吸い続けた場合に相当する。30パックイヤーに達するのに、1日1箱吸う人であれば30年かかるが、1日2箱吸う人であれば15年しかかからない。

経時的に喫煙量が増えるほど肺癌のリスクは上昇するため、ここに検診の必要性が生じる。USPSTFは、こうした高リスク集団においてCT検査の有益性がリスクを上回ることを見出した。高リスク者の肺癌検診を実施することで、医師が肺癌をより治療可能性のある早期ステージに発見する助けとなることが期待される。

参考文献;
San Miguel J, Weisel K, Moreau P, et al. Pomalidomide plus low-dose dexamethasone versus high-dose dexamethasone alone for patients with relapsed and refractory multiple myeloma (MM-003): a randomised, open-label, phase 3 trial. Lancet Oncology. Published early online September 3, 2013. doi:10.1016/S1470-2045(13)70380-2


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翻訳担当者 吉田 文

監修 小宮武文(腫瘍内科/カンザス大学医療センター)

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