ニボルマブと定位放射線の併用は、放射線単独と比較して肺がんの予後を改善

【MDアンダーソンがんセンター研究ハイライト 2023/07/19】より

免疫療法薬と定位放射線療法の併用は放射線単独よりも肺がん(NSCLC)の予後を改善

手術不能の早期非小細胞肺がん(NSCLC)に対する標準治療は、定位放射線治療(SABR)と呼ばれる標的放射線療法であるが、再発は依然として多い。Joe Chang医学博士とJohn Heymach医学博士が主導した第2相ランダム化試験の結果、SABRと免疫療法(ニボルマブ[販売名:オプジーボ])を併用することで、SABRのみを受けた患者に比べて早期NSCLC患者の転帰が有意に改善することが明らかになった。156人の患者を対象とした中央値33カ月の追跡調査において、4年無イベント生存率は、併用療法群では77%であったのに対し、SABRのみの群では53%であった。再発リスクは併用療法群で62%減少した。併用群では管理可能な免疫学的有害事象を経験した患者もいた。この結果は、免疫療法とSABRの併用による治療の可能性を示唆するものであるが、考えられる有益性を確認するためにはさらなる研究が必要である。詳細はLancet誌に掲載されている。

MDアンダーソンニュースリリース

肺がんにおける免疫療法+放射線療法の良好な結果、細胞療法の毒性を予防するアプローチ、予後予測モデルを改善するためのAIの使用について特集する。

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは、がんの治療、研究、予防における最新の画期的な発見を紹介している。これらの進歩は、世界をリードするMDアンダーソンの臨床医と科学者の垣根を超えた継ぎ目のない連携によって可能となり、研究室から臨床へ、そしてまた臨床へと発見がもたらされる。

  • 監訳 高濱隆幸(腫瘍内科・呼吸器内科/近畿大学病院 ゲノム医療センター)
  • 翻訳担当者 大澤朋子
  • 原文を見る
  • 原文掲載日 2023/07/19

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

 

肺がんに関連する記事

ロルラチニブはALK陽性肺がんの増殖を抑制:脳転移予防の可能性もの画像

ロルラチニブはALK陽性肺がんの増殖を抑制:脳転移予防の可能性も

ALK遺伝子変異を有する進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の初回治療として、ロルラチニブ(販売名:ローブレナ)はクリゾチニブ(販売名:ザーコリ)よりも優れていることが、国際共...
【ASCO2024年次総会】進行肺がんの早期緩和治療で遠隔医療と対面ケアの有効性は同等の画像

【ASCO2024年次総会】進行肺がんの早期緩和治療で遠隔医療と対面ケアの有効性は同等

ASCOの見解(引用)「進行非小細胞肺がん患者において、早期の緩和ケアは生存期間を含む患者の転帰を改善することが研究で示されています。この大規模ランダム化試験で、遠隔医療による...
【ASCO2024年次総会】進行肺がん(NSCLC)、ロルラチニブで無増悪生存期間が最長にの画像

【ASCO2024年次総会】進行肺がん(NSCLC)、ロルラチニブで無増悪生存期間が最長に

ASCOの見解(引用)「これらの長期データの結果は並外れて良く、この研究でALK陽性非小細胞肺がん患者に対する一次治療薬としてのロルラチニブ(販売名:ローブレナ)の優れた持続的...
【ASCO2024年次総会】オシメルチニブは局所進行EGFR変異NSCLCの標準治療を変える可能性の画像

【ASCO2024年次総会】オシメルチニブは局所進行EGFR変異NSCLCの標準治療を変える可能性

ASCOの見解(引用)「LAURA試験は、切除不能なステージIII疾患におけるEGFR標的療法の役割を明確にした最初の試験である。本試験ではオシメルチニブと現在の標準治療である...