FDAが濾胞性リンパ腫および辺縁帯リンパ腫にレナリドミドを承認

2019年5月28日、米国食品医薬品局は、再発または難治性の 濾胞性リンパ腫(FL)および辺縁帯リンパ腫(MZL)に対して、リツキシマブとの併用でのレナリドミド(商品名:REVLIMID®、Celgene Corp.社)を承認した。

今回の承認は、AUGMENT試験(NCT01938001)とMAGNIFY試験(NCT01996865)の2つの臨床試験に基づいている。

AUGMENT試験では、再発または難治性の濾胞性リンパ腫または辺縁帯リンパ腫患者358人が、リツキシマブ+レナリドミドの投与群とリツキシマブ+プラセボの投与群に1:1に無作為に割り付けられた。

MAGNIFY試験では、 再発または難治性の濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、またはマントル細胞リンパ腫患者232人が、レナリドミドとリツキシマブを寛解導入療法として12サイクル投与された。

AUGMENT試験では、独立評価委員会(IRC)によって決定された主要評価項目は、治療意図(ITT)集団における無増悪生存期間(PFS)であった。

無増悪生存期間の中央値は、レナリドミド群で39.4カ月(95%信頼区間[CI]:22.9~NE)、プラセボ含有群(ハザード比[HR] 0.46;95%CI:0.34~0.62;p<0.0001)で14.1カ月(95%CI:11.4~16.7)であった。

濾胞性リンパ腫患者について、独立評価委員会判定による客観的奏効率(ORR)は、対照群での55.4%(82/148;95%CI:47%~64%)に対し、レナリドミド群では80%(118/147;95%CI:73%~86%)であった。

辺縁帯リンパ腫の患者について、独立評価委員会判定による客観的奏効率は、対照群での44%(14/32; 95%CI:26%~62%)に対し、レナリドミド群では65%(20/31;95%CI:45%~81%)であった。

MAGNIFY試験では、濾胞性リンパ腫患者について、主治医判定による客観的奏効率は59%(104/177;95%CI:51%,66%)であった。

追跡期間の中央値7.9カ月(95%CI:4.6~9.2)では奏効期間の中央値に達しなかった。

辺縁帯リンパ腫患者について、試験責任医師の判定による客観的奏効率は、51%(23/45;95%CI:36%~66%)であった。

追跡期間の中央値は奏効期間の中央値11.5カ月(95%CI:8.0~18.9)に達しなかった。

両試験ともに最もよくみられた副作用は、好中球減少、疲労、下痢、便秘、吐き気、咳であり、20%以上の患者に認められた。

処方情報には、命に関わる副作用として胚・胎児毒性、血液毒性、静脈性および動脈性血栓塞栓症のリスクを医療従事者および患者に注意喚起する枠組み警告が含まれている。

濾胞性リンパ腫または辺縁帯リンパ腫に対するレナリドミドの推奨用量は、28日サイクルのうちの1日目~21日目に1日1回20mgを経口投与し、これを最大12サイクル繰り返すものである。

REVLIMIDの全処方情報はこちらを参照のこと。

FDAは本申請を優先審査およびオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に指定した。

FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、企業向けガイダンス、重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品(Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 福原慎吾

監修 野﨑健司(血液・腫瘍内科/大阪大学大学院医学系研究科 )

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