アナキンラは、CAR-T細胞療法後のリンパ腫(LBCL)患者のCRSとICANSを安全に管理

MDアンダーソンがんセンター

anakinraは、axi-cel治療を受けたリンパ腫(LBCL)でのサイトカイン放出症候群(CRS)と免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)を安全に管理

アキシカブタゲン シロルユーセル[axicabtagene ciloleucel](販売名:イエスカルタ、略称:axi-cel)による治療を受けた再発や難治大細胞型B細胞リンパ腫患者の90~95%がサイトカイン放出症候群(CRS)を発症し、患者の60~64%が免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)を発症する。現在の主な治療法であるコルチコステロイド剤はCAR-T細胞の機能に悪影響を及ぼす可能性がある。Paolo Strati医師が指導する研究者らは、CRSとICANSのリスクを低減するためaxi-cel注入後にIL-1受容体であるアナキンラ(anakinra)を予防的に投与することの安全性と忍容性を第1相試験で評価した。予防投与を受けた患者は、グレードを問わずICANSの頻度が少なく(35% vs 60%)、ICANSの管理のための治療の頻度と期間が少なかった。追跡期間中央値12カ月での奏効率は65%、1年無増悪生存率は53%、1年全生存率は79%であった。詳細はBlood Advances誌を参照。

【MDアンダーソン研究ハイライト2023/07/19】

肺がんにおける免疫療法+放射線療法の良好な結果、細胞療法の毒性を予防するアプローチ、予後予測モデルを改善するためのAIの使用について特集する。
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは、がんの治療、研究、予防における最新の画期的な発見を紹介している。これらの進歩は、世界をリードするMDアンダーソンの臨床医と科学者の垣根を超えた継ぎ目のない連携によって可能となり、研究室から臨床へ、そしてまた臨床へと発見がもたらされる。

  • 監訳 吉原哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)
  • 翻訳担当者 松長愛美
  • 原文を見る
  • 原文掲載日 2023/07/19

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

 

血液腫瘍に関連する記事

がん性T細胞から得た戦略でCAR-T細胞療法が強化される可能性の画像

がん性T細胞から得た戦略でCAR-T細胞療法が強化される可能性

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ白血病やリンパ腫のような血液腫瘍患者の一部では、CAR-T細胞療法が画期的な治療法であることが証明されてきた。しかし、がん患者の約90%を占...
再発難治性多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン3剤併用療法は新たな選択肢となるかの画像

再発難治性多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン3剤併用療法は新たな選択肢となるか

米国臨床腫瘍学会(ASCO)ASCO専門家の見解「多発性骨髄腫は 血液腫瘍の中では2 番目に多くみられ、再発と寛解を繰り返すのが特徴です。ダラツムマブ(販売名:ダラキューロ)、...
多発性骨髄腫の初期治療へのダラツムマブ上乗せ効果を示す試験結果の画像

多発性骨髄腫の初期治療へのダラツムマブ上乗せ効果を示す試験結果

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ新たに多発性骨髄腫と診断された患者を対象とした大規模ランダム化臨床試験で、標準治療レジメンにダラツムマブ(販売名:ダラキューロ配合皮下注)を...
意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果の画像

意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果

ダナファーバーがん研究所意図せぬ体重減少は、その後1年以内にがんと診断されるリスクの増加と関連するという研究結果が、ダナファーバーがん研究所により発表された。

「運動習慣の改善や食事制限...