FDAが再発・難治性多発性骨髄腫にselinexorを迅速承認

2019年7月3日、米国食品医薬品局(FDA)は、4回以上の前治療歴があり、2種類以上のプロテアソーム阻害剤、2種類以上の免疫調節薬および抗CD38モノクローナル抗体に抵抗性を示す再発または難治性多発性骨髄腫(RRMM)の成人患者に対して、selinexor[セリネクソール](販売名:XPOVIO、Karyopharm Therapeutics社)とデキサメタゾンの併用療法を迅速承認した。

本剤の有効性は、STORM試験(KCP-330-012; NCT02336815)のパート2に登録された122人の患者で評価された。本試験は、アルキル化剤、グルココルチコイド、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、レナリドミド、ポマリドミド、および抗CD38モノクローナル抗体を含む、3つ以上の骨髄腫に対するレジメンで治療を受けた再発または難治性多発性骨髄腫患者を対象とする多施設共同単群、非盲検試験である。上記の治療歴に加え、グルココルチコイド、プロテアソーム阻害剤、免疫調節薬、抗CD38モノクローナル抗体、および最終ラインの治療に抵抗性を示した患者を対象としている。これらの患者は、毎週1日目および3日目にselinexor(80 mg)とデキサメタゾン(20 mg)の併用療法を受けた。

今回の承認は、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、レナリドミド、ポマリドミド、およびダラツムマブに抵抗性を示した患者83人の事前に規定されたサブグループ解析における有効性および安全性の評価に基づいている。奏効率は25.3%(95%CI:16.4〜36)であり、厳密完全奏効1人、完全奏効例なし、最良部分奏効4人、および部分奏効16人であった。最初の奏効までの期間の中央値は4週間であった(範囲:1〜10週間)。奏効期間の中央値は3.8カ月であった(95%CI:2.3〜推定不能)。有効性の評価は、多発性骨髄腫患者を対象とした進行中のランダム化試験からの追加情報によっても裏付けられている。

20%以上の患者で報告された一般的な副作用には、血小板減少症、疲労、悪心、貧血、食欲減退、体重減少、下痢、嘔吐、低ナトリウム血症、好中球減少症、白血球減少症、便秘、呼吸困難、および上気道感染症が含まれている。

推奨される用法用量では、デキサメタゾンとの併用において、selinexor 80 mgを各週1日目および3日目に経口投与する。

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迅速承認の条件として、selinexorの有用性を検証し記述するためのさらなる臨床試験が必要となる。FDAは本申請を優先承認審査薬およびオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に指定した。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム−医薬品およびバイオ医薬品」に記載されている。

翻訳担当者 河合加奈

監修 喜安純一(血液内科・血液病理/飯塚病院 血液内科)

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