自家幹細胞移植を受けた多発性骨髄腫の若年成人の生存予後、過去 10 年間で著しく改善

MDアンダーソンがんセンター

Oren Pasvolsky医師が主導する新たな研究の結果によると、新たに多発性骨髄腫と診断された若年成人に自家幹細胞移植を行った場合、無増悪生存期間(PFS)中央値は約3年半、全生存期間(OS)中央値は12年であった。研究者らは移植時の年齢中央値37歳の患者117人のデータを分析した。2010年以降に移植を受けた患者は、2010年以前に移植を受けた患者と比較してPFSとOSが長かった。これらの改善の起因は、導入レジメンに新規薬剤が導入されたことと、2010年以降、移植後の維持療法が広く使用されるようになったことであると研究者らは考える。移植前に完全奏効を得た患者は10%、少なくとも非常に良好な部分奏効を得た患者は44%であった。移植と維持療法の後の完全奏効は56%、非常に良好な部分奏効は77%に改善した。移植後の効果の深さが重要な生存予測因子であった。詳細はBritish Journal of Haematology誌を参照。

【MDアンダーソン研究ハイライト2023/07/19】

肺がんにおける免疫療法+放射線療法の良好な結果、細胞療法の毒性を予防するアプローチ、予後予測モデルを改善するためのAIの使用について特集する。
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは、がんの治療、研究、予防における最新の画期的な発見を紹介している。これらの進歩は、世界をリードするMDアンダーソンの臨床医と科学者の垣根を超えた継ぎ目のない連携によって可能となり、研究室から臨床へ、そしてまた臨床へと発見がもたらされる。

  • 監訳 吉原哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)
  • 翻訳担当者 松長愛美
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  • 原文掲載日 2023/07/19

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