ベルケイドは多発性骨髄腫の生存期間を改善する

キャンサーコンサルタンツ

未治療の多発性骨髄腫患者において、メルファランおよびプレドニゾンにベルケイド(ボルテゾミブ)を追加すると、全生存期間を大幅に改善することがVISTA試験の最終結果より証明された。これらの結果は第53回米国血液学会年次総会で発表された。

多発性骨髄腫は、形質細胞の癌である。形質細胞は、体内の免疫システムの一部である白血球の特別な一種である。形質細胞は通常、骨髄に生存して抗体と呼ばれるタンパク質を生成し、このタンパク質が血液中を循環して、ある種の感染症と闘う助けとなる。また、形質細胞は骨破壊を引き起こす破骨細胞活性化因子と呼ばれるホルモンを分泌することによって、骨の維持にも関与している。多発性骨髄腫患者では、異常な形質細胞の数が増加しており、これらは血中または尿中で検出可能な、正常に機能しない抗体を産生しうる。これらの異常な抗体は、パラプロテインまたはモノクローナル蛋白と呼ばれており、血中ではM蛋白、尿中ではベンス・ジョーンズ蛋白として検出される。

ベルケイドはプロテアソーム阻害剤として知られる新規クラスの抗癌剤の第1号である。多発性骨髄腫およびマントル細胞リンパ腫の治療で有益であることが示されている。

VISTA試験は国際共同第3相臨床試験である。本試験には、幹細胞移植の適応がない未治療の多発性骨髄腫患者655人が参加した。患者は、メルファランおよびプレドニゾンのみの投与(MP)またはベルケイドとの併用投与(VMP)を受けるために割り付けられた。これまで5年間患者の追跡調査を行っている。

  • ベルケイドの追加によって、全生存期間が13カ月以上改善された。全生存期間はVMP投与患者で56.4カ月、MP投与患者で43.1カ月であった。
  • 一般集団と比較して、両群とも二次癌のリスク増加はみられなかった。

これらの結果より、幹細胞移植の適応がない未治療の多発性骨髄腫患者において、メルファランおよびプレドニゾンにベルケイドを追加すると、全生存期間を改善することが示唆される。

参考文献:

San Miguel JF, Schlag R, Khuageva NK et al. Continued overall survival benefit after 5 years’ follow-up with bortezomib-melphalan-prednisone (VMP) versus melphalan-prednisone (MP) in patients with previously untreated multiple myeloma, and no increased risk of second primary malignancies: final results of the phase 3 VISTA trial. Presented at the 53rd ASH Annual Meeting and Exposition. San Diego, CA, December 10-13, 2011. Abstract 476.


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翻訳担当者 可部真知子

監修 吉原 哲 (血液内科・造血幹細胞移植/兵庫医科大学病院)

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