ゾメタ®の投与回数を減らすことが顎骨壊死の発生を減少させるかもしれない

キャンサーコンサルタンツ
2007年7月

イタリアの研究者たちは多発性骨髄腫患者でゾメタ(ゾレドロン酸)を毎月一度投与しその後3カ月毎に投与する方法では、毎月一度の投与を継続する投与方法と比較して,顎の骨壊死の発生を減少することができることを報告した。この試験の詳細はLeukemia誌2007年7月号に掲載された。

ビスフォスフォネート剤は癌に関係した高カルシウム血症の治療および多発性骨髄腫や固形癌の骨の合併症予防のために承認されている。

顎の骨壊死は最近ではビスフォスフォネート剤療法の合併症として報告されている。骨壊死は血液供給の遮断によって起こる骨の死である。最初の報告はゾメタの使用に関係したが,アレデイア(パミドロネート)を使用後の事例が現在報告されている。報告された骨壊死の頻度はゾメタで治療された患者の6%から13%である。ギリシャの研究者たちは顎骨壊死発現の最も重要なリスク要因は薬剤曝露時間であると報告した。

これらの著者たちはゾメタで治療を受けた多発性骨髄腫の患者106人を後方視的(レトロスペクティブ)に再検討した。51%がゾメタを月一回投与され、55人は最初の1年間月一回投与されその後3カ月毎に投与された。月一回の投与を継続した群では骨壊死が6例あった。最初の1年間後に3カ月毎にゾメタの投与を受けた群では1例であった。顎骨壊死の発生は,月一回の治療を数年間受けた患者では100人の患者に対して9.1人であり,3カ月毎に治療された場合1.6人であった。二つのグループで治療上の効果(骨格関連事象で)に明白な相違はなかった。

コメント

これらのデータは顎の骨壊死が薬剤曝露期間に依存するとする以前の所見と矛盾がない。これらのデータは効果を減ずることなくゾメタの投与回数を減らすことが可能なことを示唆するであろう。

参考文献

Corso A, Varettoni M, Zappasodi, et al. A different schedule of zoledronic acid can reduce the risk of osteonecrosis of the jaw in patients with multiple myeloma. Leukemia. 2007; 21:1545-1548.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 内村 美里人

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

骨髄腫に関連する記事

モメロチニブは骨髄線維症の症状や貧血を有意に改善の画像

モメロチニブは骨髄線維症の症状や貧血を有意に改善

第3相試験により標準療法を上回る意味のある効果が報告された骨髄線維症を標的治療薬モメロチニブで治療した場合、疾患関連症状(貧血や脾臓肥大など)に臨床的に有意な改善がみられたことが、テキ...
高リスクくすぶり型骨髄腫の治療効果予測に免疫プロファイルが関与の画像

高リスクくすぶり型骨髄腫の治療効果予測に免疫プロファイルが関与

多発性骨髄腫の前段階にいる多くの患者では、早期治療により骨髄腫への進行を遅らせることが可能である。ダナファーバーがん研究所の研究者らによる新たな研究で、免疫系細胞に認められる変化から、高リスク...
FDAが再発または難治性多発性骨髄腫にteclistamabを承認の画像

FDAが再発または難治性多発性骨髄腫にteclistamabを承認

2022年10月25日、米国食品医薬品局は、プロテアソーム阻害剤、免疫調節剤、抗CD38モノクローナル抗体を含む4ライン以上の治療を過去に受けたことがある再発または難治性多発性骨髄腫の成人患者に対し、初の二重特異性T細胞誘導抗体(BCMA:
GPRC5D抗原を標的としたCAR-T細胞療法が抵抗性多発性骨髄腫に有効性を示すの画像

GPRC5D抗原を標的としたCAR-T細胞療法が抵抗性多発性骨髄腫に有効性を示す

ダナファーバーがん研究所、スローンケタリング記念がんセンター、およびロズウェルパーク総合がんセンターの研究者らは、多発性骨髄腫患者を対象として、まだ十分に解明されていない細胞タンパク質を標的とするよう操作された免疫系T細胞による治療法を検討