TP53変異陽性高リスクMDSにマグロリマブ+アザシチジン併用が有望

【MDアンダーソンがんセンター研究ハイライト 2023/03/29】より

未治療の高リスクMDSで新たな2剤併用療法が有望視される

TP 53変異を有する患者を含む未治療の高リスク骨髄異形成症候群 (MDS) 患者において、新しい併用療法が有望な臨床効果を示した。Naval Daver医師が共同責任者となった第1b相試験では、未治療の高リスクMDS患者95人がマグロリマブとアザシチジン(販売名:ビダーザ)で治療を受けた。マグロリマブは、がん細胞で過剰発現している 「私を食べてはいけない」 シグナルを阻害するモノクローナル抗体であり、アザシチジンは 「私を食べて」 シグナルを増加させることで、腫瘍細胞の貧食作用を増強する。この併用療法の結果、完全奏功率 (CRR) および全奏功率はそれぞれ33%および75%となり、追跡期間中央値17.1カ月時点で全生存期間(OS) の中央値にはまだ到達していなかった。TP 53変異を有する患者では、CRRは40%、OSの中央値は16.3カ月であった。患者34人が同種幹細胞移植を受けることができ、77%が2年以上生存した。併用療法は全般的に忍容性が高く、現在、フロントラインの高リスクMDSおよびフロントラインの急性骨髄性白血病を対象とした3件の進行中の無作為化多国籍第3相試験で評価されている。詳細はJournal of Clinical Oncologyを参照のこと。

MDアンダーソンがんセンター研究ハイライト 2023/03/29号:治療効果を予測する主なAIモデルや新規バイオマーカーに加え、唾液腺がん、骨髄がん、卵巣がんに対する新規併用療法を紹介

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは、がんの治療、研究、予防における最新の飛躍的な進歩について紹介している。これらの進歩は、MDアンダーソンの世界を代表する臨床医と科学者との間での円滑な共同研究によって可能となり、実験室での発見が病院へ提供され、還元される。

最近の開発では、CAR-T細胞療法反応を予測するマイクロバイオームベースのバイオマーカー、胃がんにおける免疫療法反応の新規予測マーカー、希少な唾液腺がんに対する新しい併用療法、高リスク骨髄異形成症候群に対する有望な併用療法、卵巣腫瘍を免疫療法に反応するようにさせる併用療法、トリプルネガティブ乳がんにおけるネオアジュバント治療反応を予測する人工知能モデルなどがある。

  • 監訳 野長瀬祥兼(腫瘍内科/市立岸和田市民病院)
  • 翻訳担当者 三宅久美子
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  • 原文掲載日 2023年3月29日

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