FDAが高齢者急性白血病の治療にvenetoclaxを承認

2018年11月21日、米国食品医薬品局は、75歳以上で新たに急性骨髄性白血病(AML)と診断されたか、強力な導入化学療法を妨げる合併症を有するAML患者の治療において、アザシチジン、デシタビンもしくは低用量のシタラビンの併用薬にvenetoclax [ベネトクラックス](商品名:VENCLEXTA、AbbVie Inc. 社、Genentech Inc.社)を迅速承認した。

本承認は、75歳以上で新たにAMLと診断されたか、集中的な導入化学療法が非適応となる合併症を有するAML患者を対象とした2つの非盲検非ランダム化試験に基づくものである。有効性は完全寛解(CR)の割合とCR期間に基づいて確認された。

M14-358試験(NCT02203773)は非ランダム化非盲検の臨床試験で、新たにAMLと診断された患者を対象に、アザシチジン(67人)もしくはデシタビン(13人)の併用薬としてベネトクラックスを使用した。アザシチジンとの併用群では、25人の患者がCRに至っており(37%、95%信頼区間[CI]: 26~50)、CR期間にみられた中央値は5.5カ月(0.4~30カ月)であった。デシタビンとの併用群では、7人の患者がCRに至っており(54%、95% CI: 25~81)、CR期間の中央値は4.7カ月(1.0~18カ月)であった。CR期間は、CRからデータ遮断日もしくはCRから再発までの期間とした。

M14-387試験(NCT02287233)は低用量シタラビンとの併用薬としてベネトクラックスを使用した非ランダム化非盲検試験(61人)であり、対象は新たにAMLと診断された患者で、過去の血液疾患のためにメチル化阻害剤の服用歴がある患者も含まれた。低用量シタラビンとの併用では、13人の患者がCRに達し(21%、95% CI: 12~34)、寛解がみられた期間の中央値は6カ月であった(0.03~25カ月)。

ベネトクラックスをアザシチジン、デシタビン、もしくは低用量シタラビンと併用した際に最もよくみられた有害反応(発生率30%以上)は、吐き気、下痢、血小板減少症、便秘、好中球減少症、発熱性好中球減少、疲労、嘔吐、末梢性浮腫、肺炎、呼吸困難、出血、貧血、発疹、腹痛、敗血症、背痛、筋肉痛、浮動性めまい、咳嗽、口腔咽頭痛、発熱、低血圧であった。

ベネトクラックスの推奨用量は併用レジメンによるものであり、VENCLEXTAの処方情報に記載されている。

本適応は迅速承認された。本適応に対する継続的な承認は検証的試験における臨床的有⽤性の検証と内容次第である。FDAは、本申請を優先審査、画期的治療薬およびオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に指定した。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム−医薬品およびバイオ医薬品」(Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

現在進行中の第3相試験であるVIALE-A試験(NCT02993523)およびVIALE-C試験(NCT03069352)では、アザシチジンもしくは低用量シタラビンを併用した際のベネトクラックスを評価している。全生存期間を主要評価項目としており、検証的試験として意図されている。

翻訳担当者 日ノ下満里

監修 前田 梓(医学生物物理学/トロント大学)

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