白血病患者と腫瘍専門主治医とで予後認識が大幅に異なる

専門家の見解

「がんが検出された時期に関わらず、診断された経験は、患者にとてつもなく大きなストレスと不安を引き起こす可能性があります。患者が治療リスクと起こりがちな予後を正確に理解して、情報に基づいたより良い決定を主治医と行うために、医師・患者間の効果的なコミュニケーションが重要です」。本日のプレスキャスト司会者である米国臨床腫瘍学会(ASCO)専門委員Andrew S. Epstein医師は述べた。

化学療法を受けている急性骨髄性白血病(AML)患者100人の研究から、治療リスクと治癒の可能性についての患者と医師の認識が大きく異なっていることが明らかになった。概して、患者は、治療による死亡のリスクと治癒の可能性の両方について過大評価する傾向があった。これらの発見は、カリフォルニア州サンディエゴで開催される「2017腫瘍学シンポジウムにおける緩和ケアと支持療法」で発表される予定である。

「AML患者には、診断から数日以内に治療法の決断を強いられるという非常に困難な課題が課せられます」と、マサチューセッツ州ボストンのマサチューセッツ総合病院内科学助教で、上席研究著者であるAreej El-Jawahri医師は述べた。「なぜなら彼らは重大な決断を迫られているので、治療にどのようなリスクがあるかということと治癒の可能性の両方を理解する必要があるからです」。

研究について

研究者らは、AMLの集中治療(通常4~6週間の入院を要する)を受けている患者50人および非集中的治療(外来での治療が多い)を受けている患者50人を登録した。患者年齢中央値は71歳、92%が白人であり、50%以上が大学教育を受けており、またほとんどが高所得者層に属していた。

治療開始後3日以内に、患者と主治医の両方に、治療が原因で死亡する可能性をどのように認識しているかを評価する質問票を渡した。1カ月後、彼らは、予後の認識を評価するための追跡調査質問票に回答した。その期間内に、ほとんどの患者が、腫瘍のタイプとステージがより明確に確定された検査結果を受け取った。

主な結果

治療が集中治療であったか非集中的治療であったかに関わらず、患者の63%は治療のために多少は死亡する可能性があると考え、また28%は死亡する可能性が極めて高いと考えた。対照的に、治療を行っている専門医の80%は彼らの患者が治療のために死亡する可能性は低いと考えた。

1カ月後、ほとんどすべての患者(90%)は自分のAMLは治癒する可能性が多少ある、または極めて高いと考えた。対照的に、彼らの腫瘍専門医の74%は彼らの患者が治癒する可能性は低い、または極めて低いと考えた。患者と医師との間の認識のずれは、非集中的治療を受けた患者において最も顕著であり、患者の44%は、彼らが治癒する可能性は極めて高いと信じていたが、一方、彼らの腫瘍専門医でその可能性が極めて高いと考える者は皆無であった。

「私たちの研究では把握できなかった非常に重要な要因がいくつかあります。例えば、患者と彼らの腫瘍専門医の間で実際にはどのようなことが話し合われたのか、また患者は伝達された情報を単に誤解したのか、聞き間違えたのか、などです」と、El-Jawahri医師は述べた。「おそらく、最も重要なことですが、私たちは、患者と主治医の会話を録音しませんでしたが、録音すれば、こうした会話の中での予後の正確な理解を阻む障壁について、さらに詳しい内容を提供できると思います」。

この研究に先立ち、著者らは、造血幹細胞移植を受けた血液がん患者についてと同様に、肺がん、大腸がん、その他のがんの患者についても同様の認識について調べた。患者と彼らの医師との間における治療リスクと治癒に関する認識のずれは、これらの病気においては、AMLにおけるほど大きくはなかった。このことは、AML患者は緊急に治療法を決定しなければならないために、苦悩の度合いがより高いことに起因すると研究者らは考える。

次の段階

研究者らは、固形腫瘍患者の治療計画における緩和ケアの早期検討により、患者の予後についての理解が改善することをすでに確認している。彼らは白血病患者にも同様の研究を実施したいと考えている。

「腫瘍専門医と彼らの患者との間には明らかに重大なコミュニケーション・ギャップがあります」と、El-Jawahri医師は述べた。「私たちは、特にストレス・レベルが著しく高いAMLのような病気においては、医師が彼らの患者とより良好にコミュニケーションをとれるように支援する方法を見つける必要があります」。

この研究は、国立がん研究所の助成金による資金援助を受けた。

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翻訳担当者 畔柳祐子

監修 太田真弓(精神科・児童精神科/クリニックおおた 院長)

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