化学療法の新しいスケジュールは、もっとも一般的な小児白血病の生存率を向上させる

NCIニュース

本日、シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会の年次総会において、NCIに支援された新しい臨床試験結果が発表され、高リスクの小児急性リンパ性白血病(ALL)に対して、ある薬剤の大量療法スケジュールは、現在でも高い治癒率に加えてさらに効果をあげることが示された。急速に進行する白血球の癌であるALLは、小児癌のなかでもっとも多い癌である。米国内では毎年2,500人の小児がALLの診断を受けており、そのうち1/3が高リスクである。現在のところ、標準リスクALL患者の治癒率が90%あるいはそれ以上であるのに対し、高リスクALL患者の治癒率は75%超である。臨床試験協力団体であるこのChildren’s Oncology Groupは、7年以上にわたり、ほぼ2,500人におよぶ1歳から30歳までの年齢の青少年患者に対し、従来の薬剤を新しい投薬スケジュールで行うことで無再発生存率の向上を目指すことの安全性と効果を研究してきた。

研究の調査者は、葉酸代謝拮抗剤であるメトトレキサートを大量使用した患者の無イベント5年生存率は82%である一方、標準用量のメトトレキサートを増量するレジメンでは75%に留まると発見した。骨髄および中枢神経系の再発も、メトトレキサート大量服用群のほうが少数であった。メトトレキサート大量服用に患者はよく忍容性を示し、毒性増加のエビデンスも確認されなかった。メトトレキサートは過去50年にわたってALLの小児患者を治療する必須の物質であったが、適切用量および服用スケジュールについては、常に議論および臨床研究の対象であった。今回の試験は、高リスクALL小児患者への服用スケジュールの疑問に対して決定的な回答になるとともに、今後の使用法としてのスタンダードを提供する。

翻訳担当者 中島 美香

監修 林 正樹(血液・腫瘍内科)

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