前立腺癌の放射線治療は急性骨髄性白血病の発症率を増加させる

キャンサーコンサルタンツ
2008年6月

2008年米国臨床腫瘍学会年次総会で発表されたある研究によると、前立腺癌の治療において外部照射療法(EBRT)を施行すると、急性骨髄性白血病(AML)を発症するリスクが2倍になるという相関が認められた。

放射線が骨髄異形成症候群(MDS)および二次性AMLを誘発することはよく知られている。しかしながら、EBRTを受けた男性においてのMDSおよび二次性AMLの発症リスクについては、今まで十分に調査されていなかった。

本研究では、Surveillance, Epidemiology, and End Results 9(SEER9)データベースを活用した。同データベースには177,389例が登録され、そのうちの248例はAMLに罹患していた。EBRT、手術、またはその両方で治療をされた前立腺癌男性は、対照集団よりAML発症リスクが高いことが明らかになった。次の表は、3期間におけるAML発症相対リスク(対照患者との比較においての)に関する本試験の主な結果をまとめたものである。

 

5年相対リスク

10年相対リスク

15年相対リスク

EBRT

2.47

2.20

1.97

手術

1.52

1.50

1.19

EBRTと手術の併用

2.99

2.82

2.08

対照集団または手術で治療された前立腺癌男性と比較し、EBRTはAML発症リスクを増加させると著者らは結論づけた。AMLの発症リスクは最初の5年で最大値をとることが示された。

コメント
これらの結果は興味深いものではあるが、EBRTを受けた患者がAMLを発症するリスクは、それでも極めて小さいものである。これらのデータは前立腺癌の治療に対する放射線治療と手術の潜在的なリスクを議論する際に考慮に入れるべきである。

参考文献

[1]Ojha RP, Thertulien Y, Zhou Y, et al. Prostate cancer treatment and risk of acute myeloid leukemia in a population-based prospective study. Journal of Clinical Oncology. 2008;26:abstract 5073.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved. These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein. Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc. 本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。 Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 Yuko Watanabe

監修 平 栄(放射線腫瘍医)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

白血病に関連する記事

難治性白血病(AML)にロジックゲートを用いたCAR-NK細胞療法SENTI-202で完全寛解の画像

難治性白血病(AML)にロジックゲートを用いたCAR-NK細胞療法SENTI-202で完全寛解

それまでの治療が奏効しなかったり、治療後に再発したりした急性骨髄性白血病(AML)患者が数人、first-in-class[画期的医薬品]のキメラ抗原受容体ナチュラルキラー(CAR-N...
白血病AMLにおける遺伝子変異の関連性が新治療につながる可能性の画像

白血病AMLにおける遺伝子変異の関連性が新治療につながる可能性

あるタイプの急性骨髄性白血病(AML)における2つの遺伝子変異に関連性があることが、オハイオ州立大学総合がんセンター・アーサー・G・ジェームスがん病院・リチャード・J・ソロヴ研究所(O...
ブリナツモマブは一部の小児白血病(ALL)の初回治療として化学療法の効果を高めるの画像

ブリナツモマブは一部の小児白血病(ALL)の初回治療として化学療法の効果を高める

免疫療法薬ブリナツモマブ(販売名:ビーリンサイト)は、急性リンパ性白血病(ALL)の一部の患者にとってすでに標準治療薬となっている。大規模な臨床試験で良好な結果が得られたことから、この...
白血病の細胞療法奏効の鍵を突き止めるの画像

白血病の細胞療法奏効の鍵を突き止める

ダナファーバーがん研究所の研究者らは、同種造血幹細胞移植後に再発した急性骨髄性白血病(AML)患者に対する標準療法である、ドナーリンパ球輸注(DLI)が患者を寛解に導くかどうかを決定す...