ニラパリブ、卵巣がんのFDA優先承認審査薬に指定

段階的な新薬承認申請(NDA)提出開始

2016年9月12日、腫瘍学に注力するバイオ医薬品企業のTESARO社は、米国食品医薬品局(FDA)が再発性プラチナ感受性卵巣がん、卵管がん、または原発性腹膜がんの治療に用いられるniraparib[ニラパリブ]に対し優先承認審査制度で承認したと発表した。

TESARO社は、FDAに対し、niraparibに関する新薬承認申請(NDA)の段階的申請を開始しており、第4四半期中に完了するとしている。

また、niraparibの医薬品販売承認申請(MAA)は、第4四半期に欧州医薬品庁へ提出される予定である。

FDA優先承認審査制度は、重篤な疾患を治療する薬や未だに治療法が見つかっていない疾患のニーズに対応する薬の開発と審査を早めることを目的としている。

この制度の一部として、FDAは完成した申請資料を継続的または段階的にNDAへ提出することを許可している。

niraparibの第3相NOVA試験データは、コペンハーゲンで開催されるESMO2016年度会議のプレジデンシャル・シンポジウム・セッションにて発表される。

NOVAは、直近に受けた プラチナベース化学療法に奏効した再発卵巣がん患者500人超を登録したniraparibの二重盲検、プラセボ対照、第3相国際共同試験である。

niraparibは、現在、4つの重要な試験 で評価が行われている経口のPARP阻害剤である。

TESARO社は、複数のがん種におけるniraparibの活性を評価し、その他の治療薬との併用の可能性を評価することにより、強固なniraparib営業販売権を構築 しようとしている。

niraparibの進行中の開発プログラムには、以下のようなものがある。

-プラチナ製剤感受性再発卵巣がん患者を対象とした第3 相試験(NOVA試験)

-一次治療卵巣がん患者を対象とした第3相試験(PRIMA試験)

-卵巣がん患者を対象とした第2相試験 (QUADRA試験)

-BRCA陽性乳がん患者を対象とした第3相試験(BRAVO試験)

niraparib+ペムブロリズマブやベバシズマブの併用試験など、複数の併用試験も進行中である。

niraparibは未承認薬 であり、それ自体はどの規制当局からも承認されていない。

PARP阻害薬は、紆余曲折の歴史があった薬剤群である。

企業が初めてPARP阻害薬の開発に取り組んだのは、1990年代であった。

2011年には、Sanofi社によるiniparibの第3 相試験がトリプルネガティブ乳がんで失敗に終わったが、その直後に、同薬剤は真のPARP阻害薬ではないことが明らかにされた。

AstraZeneca社のオラパリブが、医療用の使用が承認された最初のPARP阻害薬である。

翻訳担当者 JAMT翻訳チーム

監修 下村昭彦(腫瘍内科/国立がん研究センター)

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