進行腎がんに免疫チェックポイント療法の反復は推奨されない

研究概要

研究タイトル

免疫チェックポイント阻害薬投与後の腎細胞がん患者におけるチボザニブ+ニボルマブ併用療法とチボザニブ単剤療法の比較-第3相TiNivo-2試験の結果

掲載紙

The Lancet誌、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2024)アブストラクト LBA 73

著者(ダナファーバーがん研究所)

Toni K. Choueiri医師、Bradley McGregor医師

要約

ダナファーバーがん研究所が主導した国際多施設共同無作為化第3相臨床試験において、研究者らは腎臓がんの一種である進行淡明型腎細胞がん患者を対象に、チボザニブ(販売名:Fotivda、AVEO Pharmaceuticals, Inc.社)による治療に、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)ニボルマブ(販売名:オプジーボ)を追加する試験を行った。チボザニブ(血管内皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬)には血管新生阻害作用があり、ICIとの相乗効果があると考えられている。対象患者は、ICIを含む治療を1~2ライン受けていた。研究チームの解析によると、PD-1阻害薬であるニボルマブをチボザニブに追加しても、チボザニブ単剤療法と比較して、がんの進行を遅らせたり、全生存期間や奏効率を改善したりすることはなかった。これは、患者が直近の治療でICIを受けたかそれ以前に受けたかにかかわらず同様であった。

意義

PD-1やPD-L1を阻害する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)はがん治療に革命をもたらし、進行腎がんを含む多くの固形がんに対する標準的な一次治療の一部となっている。しかし、以前に受けたICIで進行がみられた後にICIによる治療をどのように行うのが最適かについては疑問が残る。この研究は、そのような疑問を投げかけた研究としてまだ2番目に過ぎない。進行腎細胞がん患者では、免疫チェックポイント阻害薬による治療の反復は控えるべきである。

資金提供

Aveo Pharmaceuticals, Inc.

  • 監訳 榎本裕(泌尿器科/三井記念病院)
  • 記事担当者 青山真佐枝
  • 原文を見る
  • 原文掲載日 2024/09/13

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

腎臓がんに関連する記事

腎臓がん罹患率の世界的な差は腫瘍シグネチャーから説明できる可能性の画像

腎臓がん罹患率の世界的な差は腫瘍シグネチャーから説明できる可能性

腎臓がんのゲノム研究により、世界各地における腎臓がんの原因について新たな手がかりが得られた。

腎臓がんは、一部の国々では他国よりも多い。しかし、この地理的な違いは、タバコ喫煙、高血圧、肥...
腎臓がんに術後ペムブロリズマブが初の全生存期間改善をもたらすの画像

腎臓がんに術後ペムブロリズマブが初の全生存期間改善をもたらす

免疫療法薬ペムブロリズマブ(キイトルーダ)は瞬く間に、最も広く使用されているがん治療薬のひとつとなった。大規模臨床試験の最新結果によると、同薬剤は今度は、腎臓がん、特に腎臓がんで最も多...
腎臓がんリスクに関連する50のゲノム領域を新たに同定の画像

腎臓がんリスクに関連する50のゲノム領域を新たに同定

概要腎臓がんの遺伝的感受性に関する新たな解析において、国際研究チームが、腎臓がんの発症リスクに関連する50の新たなゲノム領域を特定した。これらの知見は、腎臓がんの分子的基盤の理...
腎がんを皮下注射型ニボルマブで治療、点滴より簡便になる可能性の画像

腎がんを皮下注射型ニボルマブで治療、点滴より簡便になる可能性

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ進行した腎がんの患者にとって、皮下注射投与型ニボルマブ(販売名:オプジーボ)は、本来の静脈内投与の適切な代替方法であることが、臨床試験の初期...