進行腎臓がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の逐次投与を強く否定する研究結果

ダナファーバーがん研究所

研究の概要

表題:免疫チェックポイント阻害薬による治療の後進行した転移性腎細胞がんに対するアテゾリズマブ+カボザンチニブ併用療法とカボザンチニブ単独療法の有効性と安全性:第3相ランダム化非盲検試験CONTACT-03の主要PFS解析結果

発表:ASCO年次総会:アブストラクトLBA4500、口頭セッション:泌尿生殖器がん(腎臓および膀胱)
   The Lancet

ダナファーバーがん研究所発表者:Toni K Choueiri医師 
シティオブホープ上級著者: Sumanta K. Pal医師

要旨
進行腎がんには、一次治療として免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が所定の方法として投与される。CONTACT-03第3相臨床試験では、標準的な二次治療の一環としてICIを再投与することの効果を検証した。この試験は、免疫チェックポイント阻害薬による一次治療後に進行した固形がんにおいて、標準治療単独(カボザンチニブ[カボメティクス])と、標準治療+ICI(アテゾリズマブ[テセントリク]+カボザンチニブ)とを比較したはじめての試験である。アテゾリズマブ+カボザンチニブの併用療法では、カボザンチニブ単独療法と比較して、無増悪生存期間および全生存期間の延長を認めなかった。前治療のレジメンやリスク群に基づいた小グループにおける試験では、いずれのグループにおいても併用療法の有益性を示さなかった。さらに、併用療法を受けた患者群の方が毒性レベルが高かった。  

影響
PD-1/PD-L1阻害薬のような免疫チェックポイント阻害薬はがん治療に革命をもたらし、進行腎がんを含む多くの固形がんに対する標準的な一次治療の一部となっている。このようながんの新しい治療法として、がんが進行した場合にこれらの薬剤を継続してまたは再び投与する方法がある。本試験は、第3相ランダム化臨床試験でこの治療法の安全性と有効性を厳密に評価したはじめての試験である。本試験の結果により、臨床上の有益性がないことおよび害をもたらす危険性があることから、進行腎がんにPD-1/L1阻害薬の逐次投与を行うべきではないことが強く示された。

資金提供
本試験はF. Hoffmann-La Roche社から資金提供を受けた。Exelixis社は本試験の共同研究者である。

  • 監訳 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)
  • 翻訳担当者 奥山浩子
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  • 原文掲載日 2/23/06/05

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