テムシロリムスのFDA承認

商標名:Torisel™

腎臓癌で承認(2007/05/30)

臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報がFull prescribing information(英文)で参照できます。

2007年5月30日、米国食品医薬品局(FDA)は、進行性腎細胞癌(RCC)の治療にテムシロリムス(Torisel™、Wyeth社)を承認しました。

過去に治療を受けておらず、6つの予後不良因子のうち3つ以上を持つ、進行性腎細胞癌患者を対象にした、第3相多施設国際ランダム化非盲検臨床試験の第2回中間解析によって、有効性と安全性が実証されました。6つの予後不良因子には、診断からランダム化まで1年未満、カルノフスキーのPSが60または70、正常下限未満の血中ヘモグロビン値、10mg/dLを超える補正血清カルシウム値、正常上限の1.5倍の血清乳酸脱水素酵素値や、2つ以上の転移臓器が挙げられました。

626人の患者が、インターフェロンアルファ(interferonalfa)(IFN)のみ(n=207)、テムシロリムス25mgのみ(n=209)、またはテムシロリムス(15 mg)とIFNの併用(n= 210)の3つの治療群のいずれかに、無作為に割り付けられました。患者は腎摘出術歴と地理的地域によって分類されました。70%が65歳未満で、69%が男性でした。テムシロリムスは、疾患の進行または許容できない毒性の出現まで、週1回30〜60分静脈内に注入されました。抗ヒスタミン剤の前投薬(例えば、ジフェンヒドラミン(diphenhydramine))が、推奨されました(プロトコルの概要を参照してください)。

テムシロリムス単剤では、IFNと比べて、全生存期間(OS)において、統計学的に有意な延長に関連していました(hazard ratio 0.73 [95%CI:0.58〜0.92] P=0.0078)。全生存期間中央値は、テムシロリムス治療群が10.9カ月で、IFN治療群が7.3カ月でした。無増悪生存期間(PFS)は、副次的評価項目であり、無増悪生存期間中央値は、テムシロリムス治療群が5.5カ月で、IFN治療群が3.1カ月でした[hazard ratio0.66(95%CI:0.53〜0.81)]。テムシロリムス15 mgとIFNの組み合わせでは、IFNのみと比較して、全生存期間の有意な延長は得られず、むしろ複数の副作用の増加と関連していました。

30%を超える頻度で発生した最も多くみられる副作用は発疹、無力症、粘膜炎、悪心、浮腫、食欲不振でした。30%以上の頻度で発生した最も多くみられる臨床検査値異常は、貧血、高血糖、高脂血症、高トリグリセリド血症、血清アルカリホスファターゼ上昇、血清クレアチニン上昇、リンパ球減少、低リン血症、血小板減少、血清アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)上昇、および白血球減少でした。

重度の副作用(グレード3または4)は、無力症、呼吸困難、発疹、痛みでした。テムシロリムスに関するまれな重度の副作用の中には、間質性肺疾患、腸穿孔、急性腎不全が含まれていました。重度の臨床検査値異常(グレード3または4)は、高トリグリセリド血症、貧血、低リン血症、高血糖症、リンパ球減少、好中球減少でした。

この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

翻訳担当者 伊藤 実花

監修 野長瀬祥兼(研修医/社会保険紀南病院)

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