インターフェロン単独よりアバスチンとインターフェロンの併用が腎細胞癌に有効

キャンサーコンサルタンツ
2008年1月

転移性腎細胞癌患者に対しアバスチン(ベバシズマブ)とインターフェロンを併用すると、インターフェロン単独投与に比べ無進行生存期間が改善したと多国間多施設共同試験を実施した研究者らが報告した。本研究の詳細は2007年12月22日付けThe Lancet誌に掲載された。[1]

アバスチンは血管内皮増殖因子(VEGF)に対する遺伝子組換えヒトモノクローナル抗体である。VEGFは腫瘍の血管新生に重要な役割を果たすが、この活性を阻害することにより抗腫瘍効果を発揮する。アバスチンは結腸直腸癌および肺癌の治療に用いられるほか、腎細胞癌を含むその他の癌にも有効である。Eastern Cooporative Oncology Group(ECOG)の研究者らは以前に淡明細胞型の腎細胞癌患者でアバスチンが病勢進行を遅らせると報告している。腎細胞癌治療にはアバスチンとタルセバR(エルロニチブ)の併用も実施されている。

今回の試験は、未治療の転移性腎細胞癌患者649名をアバスチン+インターフェロン併用群とインターフェロン単独群に割り付けたランダム化二重盲検第3相臨床試験である。

 アバスチン+インターフェロンインターフェロン+プラセボ
患者数
325
316
進行例数
230
275
死亡例数
114
137
無進行生存期間中央値
10.2ヶ月
5.4ヶ月
治療関連死
2%
2%

アバスチンはインターフェロン投与を受けている腎細胞癌患者の無進行生存期間を改善すると著者らは結論づけている。

コメント

このデータはアバスチンが腎細胞癌に顕著な効果を示すことを追認するものであった。

参考文献
[1] Escudier B, Pluzanska A, Koralewski P, et al. Bevacizumab plus interferon alfa-2a for treatment of metastatic renal cell carcinoma: a randomized, double, blind phase III trial. The Lancet. 2007;379:2103-2111.

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翻訳担当者 橋本 仁

監修 林 正樹(血液・腫瘍医)

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