ベルズチファン+カボザンチニブ併用は免疫療法治療歴のある進行腎がんに有望

ダナファーバー研究所

研究概要

試験タイトル:
免疫療法薬による治療歴を有する進行淡明細胞腎細胞がん患者に対するベルズチファンとカボザンチニブの併用:非盲検単群第2相試験
 
公開:
ランセットオンコロジー、2023年3月31日午後6時30分ET
https://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(23)00097-9/fulltext

著者:
Toni K. Choueiri医師(ダナファーバーがん研究所)

要約:
抗PD-1や抗PD-L1などの免疫療法薬は、進行腎細胞がん(腎がん)患者に対する標準的なファーストライン治療となっている。
しかし、ほとんどの患者は最終的に病勢が進行し、次にどのような治療を行うべきかについてのコンセンサスがない状態になる。ダナファーバーがん研究所のToni Choueiri医師が主導したこの非盲検第2相試験では、VEGF TKIであるカボザンチニブとHIF-2α阻害薬であるベルズチファンの併用を初めて検討した。
ベルズチファンは、複数の治療歴を有する進行腎臓がんにおいて抗腫瘍活性と良好な安全性を示している。同研究所はLITESPARK-003と呼ばれる本試験のコホート1の結果を過去に報告しており、本試験では、免疫療法歴と2レジメン以下の全身療法(薬物療法)歴を有する進行淡明細胞腎細胞がんと診断された患者を対象としたコホート2について報告する。
追跡調査(中央値24ヶ月)後の中間結果から、病勢コントロール率は92%かつ安全性プロファイルは管理可能であり、治療歴を有する本患者群に対する本併用療法の有望な抗腫瘍活性が示された。
  
影響:
免疫療法薬は進行腎細胞がんの治療状況を大きく変えたが、患者が免疫療法薬で病勢が進行した場合にどのような治療を行うべきかという疑問は残っている。
本試験では、VEGF TKI(血管新生阻害薬)であるカボザンチニブとHIF-2α阻害剤であるベルツチファンの併用療法の中間結果により、治療歴を有する本患者群において有望な抗腫瘍活性が示された。
本結果は、この併用療法が、標準治療のない疾患への治療選択肢となる可能性があることを示唆しており、VEGF TKIとHIF-2阻害薬の併用療法のさらなる検討の根拠となる。
 
助成金:
Merck Sharp & Dohme(Merck & Coの子会社)および米国国立がん研究所(NCI)

  • 監訳 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)
  • 翻訳担当者 松谷香織
  • 原文を見る
  • 原文掲載日 2023年3月31日

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

 

腎臓がんに関連する記事

腎がんを皮下注射型ニボルマブで治療、点滴より簡便になる可能性の画像

腎がんを皮下注射型ニボルマブで治療、点滴より簡便になる可能性

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ進行した腎がんの患者にとって、皮下注射投与型ニボルマブ(販売名:オプジーボ)は、本来の静脈内投与の適切な代替方法であることが、臨床試験の初期...
進行腎がんに対する免疫療法薬+グアデシタビン新治療の可能性を示す研究の画像

進行腎がんに対する免疫療法薬+グアデシタビン新治療の可能性を示す研究

オハイオ州立大学総合がんセンター進行淡明型腎細胞がん(ccRCC)の一部の患者に対する2剤併用療法はさらなる研究に値することが、Big Ten Cancer Research Cons...
腎がん術後キイトルーダの延命効果が初めて試験で示されたの画像

腎がん術後キイトルーダの延命効果が初めて試験で示された

米国臨床腫瘍学会(ASCO)ASCO専門家の見解「KEYNOTE-564試験の最新結果は、腎臓がんの術後療法におけるペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)の有効性に焦点を当て...
体幹部定位放射線治療(SBRT)が早期腎臓がんの重要な治療法となる可能性の画像

体幹部定位放射線治療(SBRT)が早期腎臓がんの重要な治療法となる可能性

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ一部の腎臓がん患者にとって、体幹部定位放射線治療(SBRT)と呼ばれる治療法は、手術が選択できない場合に非常に有効な治療法と考えられることが...