FDAが皮膚癌の新薬Zolinzaを承認

原文
FOR IMMEDIATE RELEASE:2006年10月6日
Media Inquiries:Megan Moynahan, 301-827-6242
Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

FDAは、本日Zolinza (vorinostat)カプセルを、皮膚癌の一種である皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)に、他の薬剤治療中もしくは治療後に疾病が持続、悪化または再発した場合の適応として承認した。

Zolinzaは、FDAのオーファンドラッグプログラム(年間200,000人未満の米国人しか罹患しない疾病の治療薬を開発するために経済支援を企業に提供するもの)の一環として承認された。米国では毎年100万人に3人がCTCLと診断される。CTCLの患者の大半は男性、平均年齢50歳である。

この承認は、比較的少数の患者のみ罹患する疾病を含めたすべての癌種において、安全かつ効果的な治療を処方者に提供することを目的とした現代の研究がもたらす恩恵のさらなる1例である。Zolinzaの安全性と効果の根拠は、2つの臨床試験の結果に基づいて確定された。その試験は、他の治療を受けて再発した後Zolinzaを投与された107人のCTCL患者において行われた。皮膚病変を判定する評価基準に基づいて定義された奏効が、Zolinzaを投与した患者の30%においてみられ、平均168日継続した。もっとも頻発した重篤な有害事象は、肺塞栓(肺の血栓)、脱水症状、深部静脈血栓、貧血であった。最も頻発したその他の有害事象は消化器系症状(下痢、嘔気、食欲不振、嘔吐、便秘)、倦怠感、悪寒、味覚障害であった。

Zolinzaは、妊娠中の女性においての研究はなされていないが、動物実験の結果では、妊娠中の投与は致死的な害を引き起こす可能性を示唆している。Zolinzaは、カナダのミシサーガのPantheon, Inc.社によって製造され、ニュージャージー州ホワイトハウスステーションのMerck & Co., Inc.社が販売することになる。

(野中希 訳・瀬戸山修(薬学) 監修 )

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

皮膚がんに関連する記事

進行メラノーマに初の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法をFDAが承認の画像

進行メラノーマに初の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法をFDAが承認

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ米国食品医薬品局(FDA)は30年以上の歳月をかけて、免疫細胞である腫瘍浸潤リンパ球(tumor-infiltrating lymphocy...
進行メラノーマにペムブロリズマブ投与後わずか1週間でFDG PET/CT検査が治療奏効を予測かの画像

進行メラノーマにペムブロリズマブ投与後わずか1週間でFDG PET/CT検査が治療奏効を予測か

米国がん学会(AACR)ペムブロリズマブの単回投与後のFDG PET/CT画像が生存期間延長と相関する腫瘍の代謝変化を示す 

ペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)の投与を受けた進行メ...
MDアンダーソンによるASCO2023発表の画像

MDアンダーソンによるASCO2023発表

MDアンダーソンがんセンター(MDA)急性リンパ性白血病(ALL)、大腸がん、メラノーマ、EGFRおよびKRAS変異に対する新規治療、消化器がんにおける人種的格差の縮小を特集
テキサス大...
軟髄膜疾患のメラノーマに対する免疫療法薬の画期的投与法は安全で有効の画像

軟髄膜疾患のメラノーマに対する免疫療法薬の画期的投与法は安全で有効

MDアンダーソンがんセンター
髄腔内および静脈内への同時投与により一部の患者の転帰が改善
髄腔内(IT)の免疫療法(髄液に直接投与)と静脈内(IV)の免疫療法を行う革新的な方法は、安全であり、かつ、転移性黒色腫(メラノーマ)に起因する軟髄膜疾患(LMD)患者の生存率を上昇させることが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者による第1/1b相試験の中間解析によって認められた。