FDAが固形腫瘍のNTRK融合遺伝子の特定にFoundationOne CDx診断検査を承認

2020年10月23日、米国食品医薬品局(FDA)は、ラロトレクチニブ(販売名:VITRAKVI、Bayer Healthcare Pharmaceuticals, Inc.社)の治療対象となる固形腫瘍患者の腫瘍組織標本から単離されたDNA中の神経栄養受容体チロシンキナーゼ(NTRK)遺伝子、NTRK1、NTRK2、NTRK3の融合を同定するコンパニオン診断として、次世代シーケンシング(NGS)をベースとしたFoundationOne CDxテスト(Foundation Medicine.Inc.社)を承認した。

ラロトレクチニブは、既知の薬剤耐性変異のないNTRK融合遺伝子を有し、転移性であるか、外科的切除により重篤な障害が生じる可能性があり、代替治療がないか、治療後にがんが進行している固形腫瘍の成人および小児患者を対象に、2018年11月26日に迅速承認された。

ラロトレクチニブは、3つの多施設非盲検単群臨床試験、LOXO-TRK-14001(NCT02122913)、SCOUT(NCT02637687)、NAVIGATE(NCT02576431)のデータに基づいて承認された。NTRK融合遺伝子陽性の同定は、NGS、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)および逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法を用いて、試験実施地域の施設で前方視的に実施された。FISH法でETV6転座が確認された乳児型線維肉腫の小児患者3人では、NTRK融合遺伝子の存在が推察された。主な有効性評価項目は、RECIST 1.1に従って盲検独立審査委員会によって判断された奏効率(ORR)と奏効期間であった。

FoundationOne CDxアッセイ(F1CDx)は、ラロトレクチニブの迅速承認の裏付けとなった3つの臨床試験に登録された患者の腫瘍組織サンプルを用いて行った、F1CDxによる後方視的な検査に基づいて、ラロトレクチニブのコンパニオン診断として承認された。F1CDxでNTRK融合遺伝子陽性が確認された患者において、ラロトレクチニブの有効性が維持されていることが示された。F1CDxは次世代シーケンシング(NGS)をベースとしたin vitro診断機器で、NTRK遺伝子融合に加えて複数の変異を検出することが可能である。

FoundationOne CDx検査(P170019/S017)の安全性と有効性の概要はこちらを参照。

翻訳担当者 後藤若菜

監修 遠藤 誠(肉腫、骨軟部腫瘍/九州大学病院 整形外科)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

がん治療に関連する記事

dMMR固形がんに対してctDNA有無に基づく術後PD-1阻害薬が効果を示すの画像

dMMR固形がんに対してctDNA有無に基づく術後PD-1阻害薬が効果を示す

ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)早期固形がんで、術後、検出可能な循環腫瘍DNA(ctDNA)が陽性の患者に対して抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)を投与すると、微...
二重特異性抗体AFM13とNK細胞複合体の投与が、リンパ腫で高い奏効率の画像

二重特異性抗体AFM13とNK細胞複合体の投与が、リンパ腫で高い奏効率

AFM13-NK細胞が、すでに多くの治療を受けた患者に対して、安全かつ非常に効果的であることが第1相試験で示された。

臍帯血由来ナチュラルキラー(NK)細胞と、CD30/CD16Aの二重...
脳転移患者への放射線と免疫療法薬併用はリスクを伴うの画像

脳転移患者への放射線と免疫療法薬併用はリスクを伴う

腫瘍と闘うために免疫系を活性化する治療法は、多くの種類のがん患者の寿命を大きく延ばしてきた。
 
しかし、メラノーマや肺がんで脳に転移した患者が免疫療法薬と放射線治療を同時に併用すると重篤...
遺伝子組換え脂肪細胞を使用して腫瘍を「飢餓状態」にの画像

遺伝子組換え脂肪細胞を使用して腫瘍を「飢餓状態」に

科学者たちは長年、がん細胞が生き残るために必要な栄養素を絶つことで死滅させる方法を研究してきた。新たな研究によると、遺伝子組換え脂肪細胞がこの目標の実現に役立つ可能性が示唆されている。...