C型肝炎直接作用型抗ウイルス薬でB型肝炎ウイルス再活性の恐れ

C型肝炎直接作用型抗ウイルス薬でB型肝炎ウイルス再活性の恐れ

[2016年10月4日]

感染症専門医、消化器病専門医、患者向け

問題点: 問題点:FDAは、B型肝炎ウイルス(HBV)感染患者または既往感染者において、C型肝炎ウイルス(HCV)治療薬である直接作用型抗ウイルス(DAA)薬の投与によりHBVが再活性化するリスクがあることを警告している。DAA薬を投与された患者においてHBVが再活性化することで、重篤な肝疾患や死亡に至る例があった。HBVの再活性化は通常、4~8週間以内に発生する。

この結果、DAA薬を投与された患者のHBV感染者を検査、観察する医療従事者向けに、HBV再活性化について、FDAは最も大きな警告である黒枠警告(Boxed Warning)の医薬品ラベルへの追加を要求している。この警告は、あわせてDAA薬の患者向け小冊子や治療ガイドに表示される。

背景:DAA薬は、生涯に渡って感染が続く可能性のある、慢性HCV感染の治療に使用されている。DAA薬は、HCVが増殖するのを防ぐことでHCV数を減少させ、ほとんどの場合、HCV感染が治癒する。治療しない場合、HCVは肝硬変や肝臓がんなどの重篤な肝疾患や、死に至る可能性がある(FDA薬剤安全性通達のDAA薬のリストを参照のこと)。

2013年11月22日から2016年7月18日までの31カ月間のFDAへの報告ならびに既刊文献から得られた情報に基づき、FDAはDAA薬治療を受けたHCV感染およびHBV感染を併発した患者のうち、24人にHBVが再活性したことを確認した。この数字はFDAに報告された数字であり、FDAが確認できていない症例がさらにある可能性が高い。報告された症例において、2人の患者が死亡し、1人の患者で肝移植の必要があった。DAA薬の承認で提出された臨床試験ではHBV感染を併発している患者は対象外であったため、HBVの再活性化は有害事象と報告されなかった。より詳細な情報は、医薬品安全性通達のデータ要約の項を参照のこと。

推奨事項:医療従事者は、DAA薬による治療を開始する前に、すべての患者に対し、HBV感染患者または既往感染者であるかの検査すること。また、治療中と治療後のフォローアップ期間中は、HBV感染の再発、またはHBVが再活性化していないか血液検査を用いて患者を観察すること。

患者は、HBV感染やその他の肝疾患の既往歴がある場合には、C型肝炎治療前にその旨を医療従事者に伝えること。医療従事者への相談なしにDAA薬の服用を中止してはならない。早期の治療中止により、C型肝炎治療薬が奏効しにくくなる場合がある。情報が変更となる可能性があるため、新規処方ごとに受け取る患者向け小冊子、または治療ガイドを読むこと。疲労、無力症、食欲不振、悪心、嘔吐、目や肌の黄疸、または淡色便がある場合には、重篤な肝疾患の徴候である可能性があるため、担当の医療従事者にすぐに相談すること。

医療従事者や患者に対し、DAA薬の使用に関連した有害事象や副作用をMedWatch安全性情報および有害事象報告プログラムに報告することを推奨している。

・報告書に必要事項を記入し、オンラインで提出する:www.fda.gov/MedWatch/report

・書式をダウンロードするか、または1-800-332-1088に電話をして報告用書式を請求する。その後、必要事項を記入し、住所記載済みの書式にある住所に送るか、または1-800-FDA-0178にファックスで送付する。

翻訳担当者 中島  節

監修 林 正樹(血液・腫瘍内科/社会医療法人敬愛会中頭病院)

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