BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬治療前にB型肝炎ウイルス検査

BCR-ABL標的チロシンキナーゼ阻害薬治療前に、B型肝炎ウイルス検査が必要

2016年8月17日、治療的製品(医薬製品と医療機器)の承認と監視を行うスイス規制当局のSwissmedicが発表したところによれば、BCR-ABL標的チロシンキナーゼ阻害薬であるボスチニブ (商品名:Bosulif)、ドダサチニブ(商品名:Sprycel)、イマチニブ(商品名:Gleevec、Glivec GIST、Imatinib Sandoz、 Imatinib Teva、Imatinib Zentiva)、ニロチニブ(商品名:Tasigna)、ponatinib [ポナチニブ](商品名:Iclusig)の各医療品市販承認取得者が、上記薬剤治療後にB型肝炎ウイルス(HBV)再燃の潜在的リスクについて情報を提供した。

慢性B型肝炎ウイルスキャリアの患者で、BCR-ABL標的チロシンキナーゼ阻害薬投与後に、B型肝炎ウイルスが再燃した症例があった。B型肝炎ウイルスの再燃した一部の症例では、急性肝不全や劇症肝炎を誘発し、その後、肝移植や死亡に至った。

推奨事項

BCR-ABL標的チロシンキナーゼ阻害薬による治療開始前に、B型肝炎ウイルス感染症の有無を検査すべきである。

血清学的にB型肝炎ウイルス陽性(活動性病態を含む)の患者については、投与中 にB型肝炎ウイルス感染症の徴候を調べる検査が陽性となった患者も含め、BCR-ABL標的チロシンキナーゼ阻害薬による治療開始前に、B型肝炎ウイルス感染症の治療経験がある肝臓疾患領域の専門医に相談 するべきである。

BCR-ABL標的チロシンキナーゼ阻害薬による治療が必要なB型肝炎ウイルスキャリア患者に対して、治療期間中、および治療中止後の数カ月間は、B型肝炎ウイルス感染症の徴候や症状がないかどうか綿密に監視すべきである。

BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬の医療品市販承認取得者は、Ariad Pharmaceuticals (Europe) 社、Bristol-Myers Squibb 社、 Novartis Pharma Switzerland 社、Pfizer社、Helvepharm 社、Sandoz Pharmaceuticals 社 、Teva Pharma 社である。

翻訳担当者 松川深玲

監修 北尾章人(血液・腫瘍内科/神戸大学大学院医学研究科)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

がん治療に関連する記事

【AACR2025】進行固形がんで組織+液体生検に基づく個別化治療で転帰改善の可能性の画像

【AACR2025】進行固形がんで組織+液体生検に基づく個別化治療で転帰改善の可能性

両方の検査に基づいた治療は標準治療よりも転帰を改善進行固形がんの患者が、組織生検と液体生検(リキッドバイオプシー)の両方で同じゲノム変化が検出されることに基づく個別化治療を受け...
dMMR固形がんに対してctDNA有無に基づく術後PD-1阻害薬が効果を示すの画像

dMMR固形がんに対してctDNA有無に基づく術後PD-1阻害薬が効果を示す

ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)早期固形がんで、術後、検出可能な循環腫瘍DNA(ctDNA)が陽性の患者に対して抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)を投与すると、微...
二重特異性抗体AFM13とNK細胞複合体の投与が、リンパ腫で高い奏効率の画像

二重特異性抗体AFM13とNK細胞複合体の投与が、リンパ腫で高い奏効率

AFM13-NK細胞が、すでに多くの治療を受けた患者に対して、安全かつ非常に効果的であることが第1相試験で示された。

臍帯血由来ナチュラルキラー(NK)細胞と、CD30/CD16Aの二重...
脳転移患者への放射線と免疫療法薬併用はリスクを伴うの画像

脳転移患者への放射線と免疫療法薬併用はリスクを伴う

腫瘍と闘うために免疫系を活性化する治療法は、多くの種類のがん患者の寿命を大きく延ばしてきた。
 
しかし、メラノーマや肺がんで脳に転移した患者が免疫療法薬と放射線治療を同時に併用すると重篤...