Aloxi®は、化学療法に伴う遅発性の悪心および嘔吐に対してカイトリルよりも優れている

キャンサーコンサルタンツ
2009年2月

日本の研究者らは、化学療法に伴う急性悪心および嘔吐(CINV)の予防に対して、Aloxi(パロノセトロン)およびデキサメタゾンの併用がカイトリル〔Kytril〕(グラニセトロン)およびデキサメタゾンと同等の効果であることを報告した。本調査の詳細は、Lancet Oncologyの2009年2月号に掲載された。[1]

Aloxiは、急性および遅延性CINVの予防に対して、2003年米国食品医薬品局(FDA)により承認された。Aloxiは、遅延性CINVの予防に対する適応が認められた最初で唯一の5-HT3受容体拮抗薬である。カイトリルは、CINVを予防する為に使用されるセロトニン5-HT受容体拮抗薬であり、1994年にFDAにより承認された。
現在、日本国内の75施設において、催吐性の高い化学療法を受けている1,143人の患者を対象にした治験が実施されている。患者は、デキサメタゾンとの併用でAloxi あるいはカイトリルの投与を無作為に割付られた。以下の表は、本治験の主な結果をまとめたものである。

表1: CINVの予防におけるAloxiとカイトリルの比較

 AloxiKytril
急性期における完全効果75.3%73.3%
遅延期における完全効果56.8%44.5%
便秘17.4%15.7%
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値の上昇4.3%6.0%
アラニンアミノトランスフェラーゼ値の上昇2.9%5.9%

研究者らは、「催吐性の高い化学療法の前にデキサメタゾンと併用することで、パロノセトロンは、化学療法誘発性悪心・嘔吐に対して効果を発揮する。その効果は、急性期におけるグラニセトロンの効果に対しては非劣性であり、遅延期におけるグラニセトロンの効果よりも優れている。また2つの治療方法の安全性プロフィールは同等である。」と結論づけた。

コメント:これらのデータは、遅延性CINVの予防に対するAloxi の相対効果を裏付ける。

参照記事:
[1] Saito M, Aogi K, Sekine I, et al. Palonosetron plus dexamethasone versus granisetron plus dexamethasone for prevention of nausea and vomiting during chemotherapy: a double-blind, double-dummy, randomized, comparative phase III trial. Lancet Oncology. 2009;10:115-124.


  c1998- 2009CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 高杉友紀子

監修 林 正樹(血液・腫瘍科)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

がん治療に関連する記事

肥満度(BMI)と免疫関連有害事象の関連性の画像

肥満度(BMI)と免疫関連有害事象の関連性

肥満度(BMI、ボディマス指数)と免疫チェックポイント阻害薬の安全性プロファイルの関係に関する知見を提供する研究肥満は、さまざまな種類の腫瘍において、患者の予後不良と関連している。しか...
免疫チェックポイント阻害薬による心臓関連副作用の原因を究明の画像

免疫チェックポイント阻害薬による心臓関連副作用の原因を究明

免疫チェックポイント阻害薬(ICI)として知られる免疫療法薬は、ますます多くのがん治療に使用されている。これらの薬剤は極めて効果があり、腫瘍を縮小させ、長期間にわたり腫瘍を抑制することができる...
ケモブレインを引き起こす可能性のある生物学的変化の画像

ケモブレインを引き起こす可能性のある生物学的変化

近年、一部のがん治療の副作用である「ケモブレイン」が、研究者から注目を集めている。ケモブレインはがん治療に伴う認知機能障害と言われることが多く、重度の記憶障害、頭脳明晰さの欠如、および多くの経験者が「意識混濁」と呼ぶ状態を特徴とする。 化学
~患者のための~『放射線治療の副作用への対処』【電子書籍】の画像

~患者のための~『放射線治療の副作用への対処』【電子書籍】

放射線療法を受ける患者さんのための副作用の対処法についてのガイドブック。患者さんが医療者との円滑な話し合いを支援することを目的としています。全11 章にて、自宅で行うセルフケアに関して患者さんが理解を深め、上手に対処していくのに役立つ具体的