ビタミン補給は女性の癌リスクに効果を及ぼさない

キャンサーコンサルタンツ
2008年11月

女性における抗酸化物質および葉酸と心疾患に関する研究[Women’s Antioxidant and Folic Acid Cardiovascular Study]に属する研究者らは、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12は癌発生率に効果を及ぼさないと報告した。この研究の詳細はJournal of the American Medical Association誌2008年11月5号に掲載された。

癌予防におけるビタミン補給の役割については議論がなされてきた。先行するある研究では、葉酸と、おそらくビタミンB6の血漿中濃度が高いことと関連して、乳癌発生率が低くなることが示された(関連記事省略)。この研究ではまた、これらビタミンがアルコールを摂取する女性にとって特に重要であるとしている。しかし、結腸直腸癌の関連でビタミンDが有効であることを除外すると、ビタミン補給についての大半の研究では、癌進展リスクへの効果は示されなかった。

今回の研究では、42才以上で心疾患をもつ女性医療従事者5,000人以上が対象となっている。これらの女性は、葉酸、ビタミンB6およびビタミンB12を摂取する群と、プラセボ群とに無作為に割り当てられた。研究は1998年から2005年にわたる7年間で実施された。379人が浸潤癌と診断されたが、2グループにおいては同様の分布であった。全期間における浸潤癌および乳癌の発生率について、ビタミンを摂取群とプラセボ群に統計学的有意差はみられなかった。

コメント:

これらの結果は、抗酸化ビタミン補給が癌発生率に効果を及ぼさないことを示している。しかし、果物や野菜の十分な摂取は乳癌や他の癌の進展リスクを下げることができるという、信憑性の高い情報がある。このことは、カルチノイド、葉酸、ビタミンC、フラボノイド、植物性エストロゲン、イソチオシアン酸などのような抗酸化物質による防御効果による可能性のほか、おそらく人為的ビタミン補給では再現されない、他の未知の要素に起因する可能性がある。実際に、ベータカロチン、ビタミンA、ビタミンEの補給は死亡率を増加させることがある(関連記事省略)。

参考文献:
Zhang SM, Cook NR, Albert CM, et al. Effect of combined folic acid, vitamin B6, and Vitamin B12 on cancer risk in women. Journal of the American Medical Association. 2008;300:2112-2021.


 c1998- 2008CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 大隅郁子

監修 橋本 仁(獣医科)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

がんと生活・運動・食事に関連する記事

ストレス誘発性の免疫変化はがん転移を助長する可能性の画像

ストレス誘発性の免疫変化はがん転移を助長する可能性

過去数十年における研究から、お金の心配、仕事の問題、家族の緊張などの慢性的なストレスは、体内に化学変化を引き起こすことが証明されている。こうした変化は、血圧の上昇、炎症、特定のホルモン...
意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果の画像

意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果

ダナファーバーがん研究所意図せぬ体重減少は、その後1年以内にがんと診断されるリスクの増加と関連するという研究結果が、ダナファーバーがん研究所により発表された。

「運動習慣の改善や食事制限...
野菜、ナッツ/豆類が小児がんサバイバーの早期老化を軽減の画像

野菜、ナッツ/豆類が小児がんサバイバーの早期老化を軽減

米国臨床腫瘍学会(ASCO)​​ASCO専門家の見解  
「本研究により、小児期にがん治療を受けた成人において、濃い緑色野菜やナッツ・種子類の豊富な食事と早期老化徴候の軽減との間に強力な...
がん治療中の心身フィットネスにより入院や受診が減少の画像

がん治療中の心身フィットネスにより入院や受診が減少

米国臨床腫瘍学会(ASCO)ASCOの見解から引用「本試験によって、オンラインの心身フィットネスプログラムは、がん患者に支障なく提供することができ、治療に伴う合併症を軽減するこ...