デキサメタゾンはがん患者の呼吸困難緩和に投与すべきではない【MDA研究ハイライト】
デキサメタゾンはがん患者の呼吸困難緩和のためには投与すべきではないとの試験結果
がん患者の呼吸困難や息切れを緩和するための全身性コルチコステロイド使用を支持するエビデンスは今のところほとんどない。David Hui医師が率いる研究チームは、がんに伴う呼吸困難に対する高用量デキサメタゾンの効果を検討した。合計149人の外来患者を試験に登録し、デキサメタゾン8mg投与またはプラセボカプセル投与のいずれかに無作為に割り付け、それぞれ14日間投与した。主要評価項目は、デキサメタゾン群とプラセボ群における呼吸困難強度の平均変化量-1.6であった。試験データは、高用量デキサメタゾンがプラセボと比較して呼吸困難を有意に改善しなかったこと、非選択がん患者に標準的に投与すべきではないことを示唆している。本結果の詳細についてはLancetを参照。
監訳:佐々木裕哉(白血病/MDアンダーソンがんセンター)
翻訳担当者 山田登志子
原文掲載日
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