高齢がん患者に関するエビデンス改善に向けたFDAガイダンス案

米国臨床腫瘍学会(ASCO)会長Howard A. “Skip” Burris III医師(FACP、FASCO)が声明を発表

「米国食品医薬品局(FDA)ががん治療薬臨床試験への高齢者登録を奨励するガイダンス草案を発表したことをわれわれは高く評価します。FDA腫瘍学研究拠点センター長のRichard Pazdur医師がこの重要課題でリーダーシップを発揮してくれたことに感謝します」。

「がん診断を受けたり、がんで死亡する人の大半は高齢者であり、がんサバイバーの大部分も高齢者が占めています。残念ながら、高齢者は臨床試験データが少ない ため、高齢者の治療におけるエビデンス基準はほとんどありません。そのため、腫瘍科医も高齢者を治療するうえでのエビデンスが乏しく、より若く、健康な人々で実施された臨床試験データから推測せざるを得ません」。

「このガイダンス草案は、安全かつ倫理的に登録が可能な場合は高齢がん患者を臨床試験に含めるべきであると研究者やスポンサーに周知するものです。特に本草案は研究初期段階から高齢者を含めるようスポンサーに推奨しています。高齢者が参加できるように考慮した臨床試験のデザイン、高齢者に焦点を当てた試験参加者募集戦略の開発、年齢別サブグループ結果の報告、さらに市販後のデータ収集に向けた計画の作成などを他の推奨事項と合わせて勧告しています」。

「米国臨床腫瘍学会(ASCO)は、FDA、その他のがん関連団体とともに、高齢がん患者の治療の根拠となるエビデンスの改善に取り組んでまいりました。老年腫瘍学の第一人者である故Arti Hurria医師(FASCO)の主導によりASCOが発表した一連の推奨事項では、高齢者の治療計画を立てるにあたり臨床医と患者が必要な情報を確保できるよう焦点を当てました。2017年には、ASCOはFDAと提携して臨床医、医療提供者、患者権利擁護団体、製薬会社の代表者、アカデミー会員、および科学者をメンバーとする老年腫瘍学ワークショップを開催し、高齢がん患者治療の根拠となるエビデンスの改善へのアプローチ方法を議論しました」。

「われわれは、このガイダンスを完成させて 実行に移すFDAと密接な協力関係を継続したいと思っています」。

翻訳担当者 佐藤美奈子

監修 斎藤千恵子(薬学、毒性学/ロズウェルパ―クがんセンター 免疫療法部門)

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