術前PET-CTにより開胸術の実施数は減少するが、NSCLC患者の生存率は改善しない

キャンサーコンサルタンツ
2009年7月

デンマークの研究者らの報告によると、「NSCLC(非小細胞肺癌)の術前病期診断にPET-CTをいると、全体の開胸術実施数、無益な開胸術実施数ともに減少したが、全死亡率には影響しなかった」という。この研究の詳細は2009年7月2日発行のNew England Journal of Medicine誌に掲載されている。[1]

コンピュータ断層撮影法(CT)と陽電子放射断層撮影法(PET)は、NSCLCの病期診断を行うのに重要な診断技術であるが、それぞれに限界がある。CTとPETを複合させた機器が開発されているものの、その評価はあまりなされていない。一体型PET-CTはCTによる構造的な情報とPETによる代謝に関する情報を組み合わせて一つの画像にする。主な利点は、PETによって検出された小さな病変の位置をCTを使ってより正確に特定できることである。

これまでの研究で、一体型PET-CTスキャンを用いることにより、CTのみに比べてNSCLCの病期診断の精度を向上することができ、患者のおよそ25%の治療方法変更につながることが示唆された。しかしPET-CTによって病期診断が改善されることが生存率に与える影響については報告されていない。

今回の研究ではNSCLC患者189人がPET-CTによる病期診断を行う群と従来の診断方法を行う対照群に無作為に割り付けられた。94%の患者が縦隔鏡検査を受けた。

•PET-CT群では38人が手術不能と考えられたのに対し、対照群では18人であった。

•PET-CT群では60人が開胸術を実施したのに対し、対照群では73人であった。

•PET-CT群では無益な開胸術を受けたのは21人だったのに対し、対照群では38人であった。

コメント: PET-CTは無益な開胸術を減らすという点で有用と考えられるが、全生存率には影響はない。


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

監修 平 栄(放射線腫瘍科)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肺がんに関連する記事

欧州肺がん会議2024の画像

欧州肺がん会議2024

ESMO肺がん会議2024は、呼吸器外科医、胸部外科医、呼吸器内科医、呼吸器専門医、腫瘍内科医および放射線腫瘍医、画像下治療を行う放射線科医、病理医など、胸部腫瘍学分野の様々な専門家が...
免疫療法抵抗性肺がんにデュルバルマブ+セララセルチブ療法が有望の画像

免疫療法抵抗性肺がんにデュルバルマブ+セララセルチブ療法が有望

MDアンダーソンがんセンターデュルバルマブ+セララセルチブが肺がん患者の免疫反応を高め、予後を改善することが第2相試験で明らかにテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者...
ROS1陽性肺がんでレポトレクチニブが新たな治療選択肢にの画像

ROS1陽性肺がんでレポトレクチニブが新たな治療選択肢に

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ2023年11月、食品医薬品局(FDA)は、ROS1遺伝子融合と呼ばれる遺伝子変化を有する一部の進行肺がんの治療薬としてrepotrecti...
非小細胞肺がん、アロステリックEGFR阻害による薬剤耐性克服の可能性の画像

非小細胞肺がん、アロステリックEGFR阻害による薬剤耐性克服の可能性

ダナファーバーがん研究所アロステリック阻害薬EAI-432は、EGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する新たな治療法を提供するEAI-432は、ATPポケット以外の部位に結...