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一部の抗うつ剤はタモキシフェンの有効性を阻害する可能性がある

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一部の抗うつ剤はタモキシフェンの有効性を阻害する可能性がある

キャンサーコンサルタンツ
2009年5月

ある種の抗うつ剤がタモキシフェン(ノルバデックス®)の有効性を妨げる可能性のあることが米国の研究者らによって報告された。一方、オランダで実施された試験では、タモキシフェンに対する抗うつ剤の影響は示されなかった。両試験とも5月30日に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)の2009年年次総会で発表された。

 

タモキシフェンは乳癌の予防と治療に用いられるホルモン療法のひとつである。タモキシフェンは、体内で肝酵素CYP2D6によって最も活性の高いエンドキシフェンに変換される。しかし、低活性のCYP2D6に関連する遺伝子変異を受け継いでいる人もあり、そのような遺伝子変異を持つ人はタモキシフェンの効果を得にくいことがいくつかの試験で示唆されている。CYP2D6の阻害薬もタモキシフェンの利益を減少させる。CYP2D6阻害薬には、プロザック®(フルオキセチン)やパキシル®(パロキセチン)のような、うつ状態やのぼせの治療に使用される一部の薬がある。

 

ASCOで発表された2試験は、CYP2D6阻害薬とタモキシフェンの有効性との関連性を調査したものである。米国で実施された試験には、タモキシフェンとCYP2D6阻害薬の両方を使用した女性353人とタモキシフェンのみ使用の女性945人が参加した[1]。CYP2D6阻害薬を使用した患者群のタモキシフェンとの重複期間中央値は255日間であった。乳癌の2年再発リスクは、タモキシフェン+CYP2D6阻害薬群の13.9%に比べ、タモキシフェン単独群は7.5%であった。この研究はCYP2D6阻害薬がタモキシフェンの有効性を弱める可能性を示唆している。

 

対照的に、ASCOで発表されたもうひとつの試験ではCYP2D6阻害薬とタモキシフェンの有効性との関連性は示されなかった。オランダで実施されたこの試験には、乳癌患者1990人が参加してタモキシフェン療法を受けた[2]。計150人がタモキシフェン療法中に60日以上CYP2D6阻害薬を使用した。これらの女性の乳癌再発リスクは、CYP2D6阻害薬非使用群、CYP2D6阻害薬使用60日未満群と同程度であった。しかし、研究者らは、この試験でタモキシフェンとCYP2D6阻害薬の両方を使用した人数が比較的少ないことを認めている。そのことにより影響が認められなかった可能性がある。

 

コメント CYP2D6阻害薬とタモキシフェンの有効性との関連性について疑問は残るが、タモキシフェン療法を受けている患者は、併用薬について医師と話し合うことを勧める。すべての抗うつ薬がCYP2D6阻害薬ではないことを知らせることも重要である。のぼせやうつ状態の治療を要するタモキシフェン使用患者には、CYP2D6阻害薬以外の選択肢を考慮すべきであろう。

 

参考文献:
[1] Aubert RE, Stanek EJ, Yao J et al. Risk of breast cancer recurrence in women initiating tamoxifen with CYP2D6 inhibitors. Presented at the 2009 annual meeting of the American Society of Clinical Oncology, May 29-June 2, 2009, Orlando, FL. Abstract CRA508.

[2] Dezentje V, Van Blijderveen NJ, Gelderblom H et al. Concomitant CYP2D6 inhibitor use and tamoxifen adherence in early-stage breast cancer: a pharmacoepidemiologic study. Presented at the 2009 annual meeting of the American Society of Clinical Oncology, May 29-June 2, 2009, Orlando, FL. Abstract CRA509.

 


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監修榎 真由

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