ハーセプチンおよび化学療法は、脳転移を有する乳癌患者に有益である

キャンサーコンサルタンツ

ハーセプチン(トラスツズマブ)や化学療法による治療は、脳転移したHER2陽性乳癌女性患者の生存期間を延長する可能性がある。これらの結果がClinical Cancer Research誌で発表された。

乳癌治療は大きく前進してきたが、転移性乳癌(体の他の部位に転移した乳癌)の治療については課題が残されたままである。脳は乳癌が転移する可能性がある部位の1つであるため、研究者らは脳転移した乳癌患者に対する最善の治療法を模索し続けている。

HER2陽性転移性乳癌女性患者で脳転移が起きる頻度およびその結果を評価するために、研究者らは新たに脳転移と診断されたHER2陽性転移性乳癌女性患者1,023人を対象に試験を行った。HER2陽性乳癌とは、HER2タンパク質を過剰発現させる(たくさん作りすぎる)癌を意味する。HER2陽性乳癌の治療には、ハーセプチンのようなHER2タンパク質標的薬による治療がしばしば用いられる。

  • 脳転移はホルモン受容体陰性乳癌の若年女性、および腫瘍量が多い若年女性患者に多く発症した。
  • 最初の診断では脳転移はなかったが後に脳転移を発症した女性患者は、最初の診断から中央値13カ月後に脳転移と診断されていた。
  • 脳転移診断の後のハーセプチンおよび化学療法による治療は、それぞれ、全生存期間を著しく改善した。

これらの結果は、HER2陽性乳癌が脳転移した後でも、標準乳癌治療が生存を延長する可能性があることを示唆する。

参考文献:

Brufsky AM, Mayer M, Rugo HS et al. Central nervous system metastases in patients with HER2-positive metastatic breast cancer: incidence, treatment, and survival in patients from registHER. Clinical Cancer Research. 2011; 17: 4834–43.


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翻訳担当者 有田 香名美

監修 峯野 知子(分子薬化学 高崎健康福祉大学薬理部 准教授)

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