2010/05/18号臨床試験登録特別号◆「解決策に重点を置いた癌の臨床試験症例集積ツール」 | 海外がん医療情報リファレンス

2010/05/18号臨床試験登録特別号◆「解決策に重点を置いた癌の臨床試験症例集積ツール」

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2010/05/18号臨床試験登録特別号◆「解決策に重点を置いた癌の臨床試験症例集積ツール」

同号原文
NCI Cancer Bulletin2010年5月18日臨床試験登録特別号(Volume 7 / Number 10)


日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中〜

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◇◆◇ 解決策に重点を置いた癌の臨床試験症例集積ツール ◇◆◇

先月、NCI(米国国立癌研究所)の研究者らは癌臨床試験の参加者を募集する臨床医および専門医のため新たなオンラインツールを発表した。[患者集積ネット]と呼ばれるこのツールは、情報の収納庫であると共にこれらの重要な研究の開発および管理に関連する課題について専門医が意見交換するための公開討論の場でもある。
AccrualNetは、4月29日から30日にかけてメリーランド州ベセスダで開催された癌臨床試験症例集積シンポジウム(Cancer Trial Accrual Symposium)で紹介された。NCIおよび米国臨床腫瘍学会(ASCO)共催による本会議は、臨床試験の参加者募集を実際に行っている組織の、350人を超える募集の担い手および代表者が参加した。

会議では、症例集積の科学的な面の構築が行われた。試験のための患者の募集方法およびこれらの患者が治療を受ける間のサポート方法について、最近では多くのことがわかっている。しかし、その情報の多くは臨床試験を行う医師たちの頭の中にのみ存在しており、かつ科学文献の発表には一貫性がない。

上記の問題に対する解決策となりうるものがAccrualNetである。本ツールは、臨床試験についての情報を統合して、該当する分野の専門医に役立てる。当ウェブサイトの特色としては、臨床試験の募集に、リサーチ可能な学術論文リストを注釈に追記し、また、米国の黒人社会に向けたインフォームドコンセント(よく説明を受けた上での同意)へのガイドや臨床試験に対する心構えといった関連文書のリンクを貼っている。

「AccrualNetは、これまでなかった情報およびリソースの収納庫です。加えて、当ツールにより人々が互いに影響しあい臨床試験の患者集積について意見を共有できるでしょう」とNCIのコミュニケーション・教育室(Office of Communications and Education)所属で当ツール開発主任のDr. Holly Massett氏は述べた。

同氏らは2008年初頭に当計画の研究を開始した。当初の目標は、臨床試験の募集についての情報の展望を理解することと、何が欠けているかを見いだすことであった。研究者らはさまざまな関係者にインタビューしたり、NCI指定の包括的がんセンターはもとより地域の腫瘍診療所を訪問したりした。

そのインタビューから複数のテーマが見つかった。「人々は臨床試験の募集情報を探すのに苦心しています。『患者募集の情報源が一カ所に集まってさえいれば』と言われるのを私たちは何度も聞きました。もう一つ、よく聞くのは、『患者募集の情報について他の人たちとも話せたら』ということです」と同氏は語った。

これらの発見に基づいて、研究者らはAccrualNetの試作モデルを開発した。情報とリソースは試験前の計画から実際の試験段階および試験後の評価まで、臨床試験の各段階について確認された。ウェブサイトで記しているように、「あらゆる段階で、患者募集の課題は重要である」。

十分なユーザーテストを行い、多くの専門医が仲間とつながりを持ち情報と助言を共有できるようにしたいという強い願望が明らかになった。当開発者は、最善の診療についての資料、助言、経験、情報を利用者が提供することができる「診療共同体」を作った。利用者は資料にコメントすることもできる。

AccrualNetでは、サイト上で専門医たちも関心事を話し合える公開討論の場を設けている。例えば、Community Clinical Oncology Program(地域臨床癌研究計画)の運営管理者は討論のためのグループを作っている。

本計画の主要なゴールは、臨床試験の患者集積の成功に必要なプロセスの知恵を集積することである。もう一つは、募集活動の計画と実行において現在ある文献とリソースの利用を促進することである。

これらの直接的なゴールのほか、本計画は患者集積方法における研究のギャップを同定して今後の研究の論点を定義するのに役立った。

AccrualNetは、患者集積の科学的側面と平行して発展していくよう計画されており、現在はその分野の限界が同集積ツールの限界となる。エビデンスの多くは単一の施設による報告から成り立っており、患者募集と維持に関するランダム化対照試験(エビデンスの最も高い方法と考えられている)はほとんど実施されていない。

「AccrualNetは、出発点です。しかし、進められている癌臨床試験の患者募集を私たちが調べる方法についての枠組みになる可能性があります。」と同氏は話した。

AccrualNetは、癌臨床試験症例集積シンポジウムで示された重要な目標達成を目的とする多くの計画の一つに過ぎない。 いくつかのプレゼンテーションで示されたスライドと情報は
閲覧可能である。

— Edward R. Winstead

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福田 素子 訳
林 正樹(血液・腫瘍内科医/敬愛会中頭病院)監修

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