2009/07/14号◆特集記事「癌専門医に患者との治療費の話し合いを勧告」 | 海外がん医療情報リファレンス

2009/07/14号◆特集記事「癌専門医に患者との治療費の話し合いを勧告」

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2009/07/14号◆特集記事「癌専門医に患者との治療費の話し合いを勧告」

同号原文 

NCI Cancer Bulletin  2009年07月14日号(Volume 6 / Number 14)

 

 

 

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

 

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特集記事

癌専門医に患者との治療費の話し合いを勧告

医療費の急増に伴い、国家保健医療制度をどう改革していくのかは目下協議の的になっている。米国臨床腫瘍学会(ASCO)が先週発表した新しい指針声明は、治療にかかる費用について患者と話し合うことを腫瘍医に強く勧めるもので、この問題の一面に真正面から取り組んでいる。指針声明では、医療費における医師と患者の話し合いは「質の高い医療の重要な要素である」と言明している。

癌治療の経済的側面については、先のオーランドで開催されたASCO年次総会でも注目されていた。ASCO会議は、演者らによって率直に状況評価がとり交わされる場である。

会議の一つで、指針声明の策定を任されていたASCO特別委員会を率いるベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのDr. Lowell Schnipper氏は、「本邦の医療費問題は重大な転換点に到達している。まだ通り越していないとすればの話だが」と述べた。同氏の言葉は数字が裏付けている。米国における医療費の支出は、2007年に2.2兆ドルであった。これは、国内総生産 (GDP) の約16%にあたる。Schnipper氏によると、癌が医療費を左右する重要な要因であることは驚くまでもないという。癌の治療費は年間約15%増の急速な上昇がみられる。

Schnipper氏の説明によると、Journal of Clinical Oncology誌に掲載された今回の指針声明は、腫瘍医に役立つというだけでなく、医療費が治療選択や決定にどう影響を及ぼすかについて理解を深め、患者、保険会社、産業界など、その他の利害関係者にとっても役立つことを目的としているという。

ASCO特別委員会メンバーでダナファーバー癌研究所のDr. Deborah Schrag氏は、医療費はもはや無視できない問題であることを強調している。

Schrag氏は「医療費が診療会話に欠かせないものという事実を受け入れなければならない」としている。歯科治療などのその他の保健医療では、治療費に関する話し合いは、直接的で率直なものであり、当然なされるべきものと考えられていると同氏は話す。「しかし、これが癌に関することとなると一変する。癌は命に関わる疾患であるため、歯科治療費などと全く同じ方法で同列に取り扱うことは受け入れられないであろう。今、腫瘍医として私たちは実践を試みていかなければならないことを認識しつつある。すでに避けては通れないところまできている。制度が違っていたらと願ったところで、それが実現するわけではない。」

指針書では、患者との話し合いの中で、腫瘍医は治療費が高額になるかもしれないことを認知すべきであり、「最善の治療にかかる費用の問題を具体的に把握していくように努める」ことを推奨している。話し合いを円滑にするには、「特定の治療選択をした場合に、どのぐらいのベネフィットが見込まれるのか」を数値化してみるなど、「具体的な癌治療の評価について、患者が判断したり、話し合ったりするための情報を、腫瘍医は常時身につけておく」必要がある。

これが容易な話し合いではないことをDr. Nicholas Robert氏は認めている。同氏は、全米規模で癌治療・研究を行うUS Oncology社の関連施設で、バージニア州にある大規模な癌診療所で乳癌治療を専門にしている。「これまで私たちが学んできた診断および治療重視のやりかたとは異なる。」

Robert氏は、現在の保健医療の環境では「誰もが、自分に課された責任を果たさなければならない。医師には高額費用に対する責任がある」と続けた。「患者と費用について話すだけではなく、科学的根拠に基づいた情報を提示し、評価が実証されていない治療は行わないようにするなど、もっと積極的に関与する必要がある。」

同氏は、臨床的観点からしても、このような話し合いは理にかなっていると主張している。「医師が処方した治療にかかる費用を患者が支払えるかを確認することは適切な行為である」と強調している。また同氏によると、U.S. Oncology社が用いる電子医療記録システムは医療費の話し合いに役立つという。これは、米国政府によるガイドラインによって最も有効性が高いとされる癌種ごとの治療選択肢を並べたクリニカルパスが取り入れられているからである。このシステムは、腫瘍医が患者に適した治療を計画するのに有用である。

治療費について話したがらないのは、腫瘍医だけではない。癌患者の支援活動をするニューヨークの非営利組織CancerCareの幹部であるDiane Blum氏は、「患者の多くは、治療費については話しにくいと感じている」と述べる。同氏によると、「患者は自分の治療に費用が影響することを恐れていたりもする」という。

ASCO特別委員会の患者代表でもあるBlum氏は、「医師に保険を熟知すべきであるとか、患者との直接的な話し合いを全部請け負うべきだと言っているわけではない」と強調した。「しかしながら、治療プロトコルには明記すべき事項である。医師が治療に関連する費用やベネフィットについて話すことが理想であるが、どういった状況なら患者にとって選択しやすくなるのかを解決する役目を担うのは医師ではない」としめくくった。

— Carmen Phillips

癌患者への医療費補助全米にある国家、州、地方レベルそれぞれの組織では、癌およびその他の重篤な疾患を有する患者が医療費の支払い手段を見つけるための援助を行っている。アメリカ癌協会(ACS)や患者支援団体キャンサーケアをはじめとする組織の多くが、近年ホームページwww.cancerfac.orgを開設し、医療費補助を必要とする患者のために集約的かつ合理的な方法を提供している。ASCOでは、新しい小冊子「Managing the Costs of Cancer Care(癌にかかる医療費管理)」を作成し、ASCOの患者向けホームページから入手できる。またNCI(米国国立癌研究所)では、ファクトシート「Financial Assistance and Other Resources for People With Cancer(癌患者のための医療費補助と問い合わせ先)」を提供している。

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遠藤 香利 訳

九鬼 貴美(腎臓内科)監修

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原文掲載日

翻訳遠藤 香利

監修九鬼 貴美(腎臓内科)

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