膵がんにゲムシタビン(30分間投与)、FDR: 定速静注法、ゲムシタビン+オキサリプラチン(GEMOX)を比較した第3相臨床試験(E6201)

 米国臨床腫瘍学会(ASCO) プレスリリース

亜分類 膵臓癌
分類 消化器癌(大腸を除く)
会議 2006年ASCO年次総会

抄録番号 LBA4004
引用文献 Journal of Clinical Oncology, 2006 ASCO Annual Meeting Proceedings Part I. Vol 24, No. 18S(June 20 Supplement), 2006: LBA4004

著者 E. Poplin, D. E. Levy, J. Berlin, M. Rothenberg, D. Cella, E. Mitchell, S. Alberts, A. Benson,iii

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抄録

背景 ゲムシタビン(GEM)は、転移性膵癌(PANCA)の基本的治療薬である。GEMを定速静注法(FDR)で投与した場合またはGEMOXを投与した場合は効果を期待できるが、GEM単剤と比較した場合の生存率向上については十分に明示されていない。E6201試験では、定速静注法のGEMを3週連続で150分かけて1500mg/m2投与する(1クルー28日)B群、またはサイクル第1日目はGEMを100分かけて1000mg/m2投与し、さらにサイクル第2日目はオキサリプラチンを100mg/m2投与する(1クール14日)C群に対し、標準GEMを7週連続で30分かけて1000mg/m2を投与し(1クール56日)、その後3週連続で投与する(1クール28日)A群の全生存期間を比較している。副次的評価項目は、毒性、奏効率、障害のパターン、無増悪生存期間およびQOLに関する治療群の比較である。

方法 本多施設共同臨床試験には、通常の臓器機能を有するパフォーマンス・ステータス(PS)が0から2、測定可能および測定不可能,進行性,切除不能のPANCA患者を対象とした。これらの患者は事前に放射線増感効果がある5FUを補助療法として使用することは認められたが、本試験での化学療法が初回治療である。対象患者をPS0-1対PS2および局所進行症例対転移性症例に層別化した。生存率は指数学的に減少し,A群で6ヶ月、BおよびC群で8ヶ月の生存期間中央値(適格N=750)と仮定して、一次比較であるA群対B群およびA群対C群それぞれに対して行われる両側検定において2.5%の有意水準を維持する一方で、検出力81%で生存期間中央値(ハザード値=1.33)において33%の差異を検出できるように本研究はデザインされた。

結果 本臨床試験に参加する患者の登録は、2003年3月に始まり2005年3月に終了した。追跡期間中央値は5.8ヶ月である。833人の患者(うち男性患者数53%;PS0-1患者数88%;転移性疾病患者数88%)がA群280人、B群277人およびC群276人にランダム割付された。第3回中間解析が89.5%の情報を元に2006年3月に実施された。758人の患者に現れた主な毒性は、グレード3または4の骨髄抑制および倦怠感であった。2人の患者が急性呼吸窮迫症候(ARDS)および感染症が原因で死亡した。全生存期間中央値はそれぞれA群4.96ヶ月、B群が6.01ヶ月およびC群が6.47ヶ月である。A群対B群ではハザード比は1.21で層別化されたログランク検定は0.053、およびA群対C群ではハザード比が1.22で層別されたログランク検定は0.045であり、両者ともに統計学的に有意ではない。

結論 E6021の最終的な全生存期間の結果は、2006年6月に提供される予定である。

重篤な毒性
 A群A群B群B群C群C群
Gr3Gr4Gr3Gr4Gr3Gr4
好中球減少191529311014
血小板減少12029010<1
ヘモグロビン減少8215341
吐き気708<114<1
嘔吐5051101
感染症215<110

翻訳担当者 佐々木了子

監修 瀬戸山修(薬学)

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