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ドムバナリマブ併用療法は進行性非小細胞肺がんに対して免疫療法薬単剤より優れている

ASCOの見解

「新たな免疫チェックポイント受容体であるTIGIT標的を検討した先行研究で得られたシグナルはまちまちのものでした。本試験における免疫療法薬併用治療の有望な結果は、さらなる調査を支持するものであり、確認されれば、進行肺がん患者に対する新たな標準治療につながる可能性があります」とASCOエキスパートのLauren Byers医師は述べる。

ステージIVの非小細胞肺がん(NSCLC)に対して免疫療法薬に新規の人工抗体を追加することで、免疫療法薬単剤治療と比較して全奏効率(ORR)および無増悪生存期間(PFS)が改善することが第2相ランダム化臨床試験で示された。本試験結果は、2022年12月20日午後3時(米国東部時間)から開催されるASCOプレナリーシリーズセッションで発表される。  

この新規抗体薬domvanalimab[ドムバナリマブ]は、免疫細胞に発現するチェックポイント受容体であるTIGITに結合し、これを阻害することで効果を発揮する。TIGITは、がん細胞を発見し死滅させる免疫系の本来の能力を抑制するため、その活性を阻害することでがん治療に役立つ可能性がある。重要なことは、TIGITと、本試験で使われた免疫療法薬(zimberelimab[ジムベレリマブ])の標的マーカーであるPD-1とでは、抗腫瘍免疫反応を制御する機能が異なるため、2剤を組み合わせることで効果が期待されることである。TIGITを標的とするこれまでの薬剤が臨床試験で示した効果はまちまちであったが、ドムバナリマブは、他のTIGIT標的薬とは異なり、強固な免疫反応の鍵となり得る末梢免疫細胞を枯渇させないよう設計されている。

「ステージIVの非小細胞肺がん患者の多くにとって、現在の標準治療は免疫療法薬単剤療法ですが、長期的利益が得られると言える患者はごく一部に過ぎません。新規の併用療法を見つけることは、患者さんの転帰を改善するために非常に重要です」と、ナッシュビルのSarah Cannon Research Institute at Tennessee Oncology肺がん研究部長で、本試験の筆頭著者であるMelissa L. Johnson医師は述べている。「特に、6ヵ月後に腫瘍が安定しているか縮小していることが確認された患者さんの数には、勇気づけられます。ただし、これは中間解析であり、より長期の追跡調査によってデータは成熟していくでしょう」

ARC-7と呼ばれる本試験では、PD-L1マーカーの発現レベルが高く、治療歴のないステージIVの非小細胞肺がん患者を登録した。150人の患者を、3つの治療群のいずれかに無作為に割り付けた。登録患者150人のうち、133人で評価可能な結果が得られた。試験群は次の通り。

Z群:ジムベレリマブジンを3週間ごとに静脈内投与した。病勢が進行した患者は、EDZ群静脈内投与へのクロスオーバー(群を移ること)が許可された。

DZ群:ドムバナリマブを3週間ごとに静脈内投与し、さらにジムベレリマブを投与。

EDZ群:DZレジメンに加え、免疫反応を調節し抗がん作用を有する薬剤であるetrumadenant[エトルマデナント]を1日1回経口投与。

患者の追跡期間は中央値で約1年であった。DZ群およびEDZ群で全奏効率の改善が認められ、奏効率がZ群で27%であったのに対して、DZ群では41%、EDZ群では40%であった。これらの併用群ではドムバナリマブが使われていた。DZ群およびEDZ群は、Z単剤群に比べ病勢進行または死亡のリスクが低く、無増悪生存期間は、DZ群対Z群では12カ月対5.4カ月、EZD群対Z群では10.9カ月対5.4カ月であった。さらに、6カ月無増悪生存率について、病勢進行の徴候がみられなかった患者がZ群では43%であったのに対し、DZ群では65%、EDZ群では63%であった。グレード3以上の治療関連有害事象は、全群の約半数で発生した。重要なことは、DZ群で免疫関連の有害事象が増加しなかったことである。

この第2相試験で概念実証が確立されたことを受けて、現在、異なるタイプの非小細胞肺がんでドムバナリマブ併用治療の活性を確認するための複数の国際共同第3相試験が進行中である。

 

監修:稲尾 崇 (呼吸器内科/神鋼記念病院)

翻訳担当者山田 登志子

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