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アルコールとがんの関連性:米国人の認識はきわめて低い

ワイン、ビール、酒類で認識に差

ワインを含むすべてのアルコール飲料がさまざまな種類のがんのリスクを高めることを示す決定的な研究結果があるにもかかわらず、米国人はこのリスクに対する認識が低く、アルコールには健康に良い効果があると思っている人もいることが、米国がん研究学会のCancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌に発表された。この認識はアルコールの種類によって大きく異なることもこの研究で示された。

「米国において、アルコールはがんの主要な修正可能な危険因子であるにもかかわらず、これまでの研究で、ほとんどの米国人はこの事実を知らないことが明らかになっています」。この研究の筆頭著者であり、米国国立がん研究所(NCI)のがん予防フェローとしてこの研究を実施したAndrew Seidenberg氏(MPH、PhD)はこのように語った。

Seidenberg氏は、2013年から2016年の間に、アルコールが年間平均75,000人以上のがん症例と約19,000人のがん死亡に影響したことを示す研究を引用した。ワイン、ビール、酒類など、エタノールを含むすべての飲料はがんリスクを高める。現在までに、乳がん、口腔がん、大腸がんなど、7種類のがんがアルコール摂取と関連しているとされている。

Seidenberg氏らは、アルコールとがんの関連性に関する米国人の認識を評価するために、2020 Health Information National Trends Survey 5 Cycle 4(成人3,865人の調査回答)のデータを分析した。「アルコール飲料の摂取は、がんになるリスクにどの程度影響すると思いますか」と質問し、ワイン、ビール、酒類それぞれに対する回答を記録した。さらに、アルコールと心臓病との関連性についての回答者の認識を評価する質問も行った。また、現在のアルコール摂取量についても質問した。

【主な結果】

●アルコールとがんの関連性についての認識は、酒類が最も高く、米国成人の31.2%がそのリスクを認識しており、ビール(24.9%)、ワイン(20.3%)がそれに続いた。

●米国成人の10%がワインはがんリスクを減少させると回答し、ビールについては2.2%、種類については1.7%の人がそれぞれがんリスクを減少させると回答した。

●米国成人の50%以上が、これらの飲料ががんリスクにどのように影響するかを知らないと回答した。

●アルコール飲料が心臓病リスクを高めることを認識している米国成人は、アルコールとがんの関連を認識している調整予測確率が高かった。心臓病に対する認識は、がんに対する認識と同様のパターンを示し、酒類、ビール、ワインについて、それぞれ38.9%、36.4%、25.1%の米国成人が心臓病リスクを高めると思っていることがわかった。

●高齢者ほど、アルコールががんのリスク要因であることを認識していないことがわかった。60歳以上の米国成人のうち、ワイン、ビール、酒類に伴うリスクを認識している割合は、それぞれ15.7%、17.8%、23.7%であった。一方、18歳から39歳の米国成人のうち、ワイン、ビール、酒類に伴うリスクを認識している割合は、それぞれ26.1%、33.1%、39.1%であった。Seidenberg氏は、これは高齢者ほど長年の飲酒習慣があるためかもしれないと述べた。

●飲酒状況は認知度と関連せず、非飲酒者、飲酒者、大量飲酒者で同程度であった。

著者らは、アルコールとがんの関連に関する教育を進めることは多くの米国人にとって有益であると、この研究が裏付けていると述べた。このような教育は、ワインは健康に良いかもしれないと示唆する研究がメディアで大きく取り上げられたことを考えると、特に有用であろうと、著者らは指摘した。

「ワインを含むすべてのアルコール飲料はがんのリスクを高めます」と、米国国立がん研究所行動研究プログラム副所長のWilliam M.P. Klein博士(上級著者)は述べた。「この研究結果は、特にワインが心臓の健康に良いとの説が広まっている状況下で、アルコール摂取のがんリスクについて国民を教育するための介入策を開発する必要性を強調しています」。

著者らは、介入策として、マスメディアキャンペーン、がん警告ラベル、患者と医療関係者のコミュニケーションなどが考えられると示唆した。Klein氏によると、対象者に合わせてメッセージを調整することは、メッセージの関連性を高めるのに役立つという。

「アルコールがどのようにがんリスクを高めるかについての一般向け教育によって、消費者がより多くの情報を得た上で判断できるようになるだけでなく、アルコール過剰摂取の防止、がんの罹患率や死亡率の低下につながる可能性があります」と、彼は述べた。

著者らは、本研究の制限として、いくつかの質問事項が無条件に構成されていることなどを注記している。例えば、アルコールとがんの関連性の認識に関する質問では、回答者の飲酒量に応じて層別化されていなかった。また一部のデータは、多くの米国人が普段より多く飲酒したと報告されているCOVID-19大流行中に収集されたことも注記している。

この研究は、米国国立衛生研究所の一部である国立がん研究所のがん制御・人口科学部門の支援を受けている。

 

監訳:朝井鈴佳(獣医学・免疫学)

翻訳担当者藤 万里子

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