進行胃食道癌患者を対象としたカペシタビンとフルオロウラシル、オキサリプラチンとシスプラチンの第3相REAL 2試験

亜分類 食道、胃、小腸
分類 消化器癌(大腸を除く)
会議 2006年ASCO年次総会

抄録番号 LBA4017

引用文献 Journal of Clinical Oncology, 2006 ASCO Annual Meeting Proceedings Part I. Vol 24, No. 18S(June 20 Supplement), 2006: LBA4017


抄録

背景 本試験の目的は、未治療の進行胃・食道癌患者に、第三世代の白金化合物であるオキサリプラチン(O)および経口フルオロピリミジン剤であるカペシタビン(X)が使用できることを裏づけることにあった。

方法 食道、食道-胃接合部または胃の腺癌、扁平上皮癌または未分化癌であることが組織学的に確認された患者を全身状態(PS)および腫瘍の進展度に応じて層別化したのち、2×2要因デザインで比較する4通りのレジメンのうちひとつにランダムに割り付けた。4通りのレジメンとは、エピルビシン、シスプラチンおよびフルオロウラシル(ECF)、エピルビシン、オキサリプラチンおよびフルオロウラシル(EOF)、エピルビシン、シスプラチンおよびカペシタビン(ECX)、エピルビシン、オキサリプラチンおよびカペシタビン(EOX)である。用量はエピルビシン50 mg/m2、シスプラチン60 mg/m2、オキサリプラチン130 mg/m2の週3回静注、フルオロウラシル200 mg/m2の毎日静注,カペシタビン625 mg/m2の1日2回経口連日投与とし、各々のレジメンを8サイクル実施した。主要エンドポイントは全生存率とした。試験は患者1,000人(各群250人)を対象として実施したもので、検出力は80%であり、プロトコール対象例毎でHRの95%信頼区間上限1.23(α=0.05)を除外すれば,カペシタビンがフルオロラウシルに劣らない効果をもち、オキサリプラチンもシスプラチンに劣らない効果をもつことを示すように検出力を80%とした。ログランク検定およびコックス回帰分析により分析を実施した。

結果 61施設の患者1002人をランダム化した。人口統計学的背景因子はバランスが保たれ、89%がPS 0~1、77%が転移症例、年齢中央値63歳(22~83歳)、81%が男性で41%が胃原発であった。組織学的には88%が腺癌、55%が低分化癌であった。患者11人が不適格であり、27人が治療開始前に脱落した。追跡期間中央値は17.1ヵ月であり、850件の事象が発生した。

結論 進行胃食道癌の治療に用いた3剤併用レジメンでは、カペシタビンは5-フルオロウラシルと代替可能であり、オキサリプラチンはシスプラチンと代替可能であると考えられた。

胃・食道癌で認められた同等の効果(2×2で比較)と個々のレジメン

プロトコール毎に2×2で比較 1年生存率(95% CI)生存期間中央値ハザード比(95% CI)
5FU: ECF + EOF39.4%(35.0~43.7)9.6ヵ月1
カペシタビン: ECX +EOX44.6%(40.1~49.0)10.9ヵ月0.86(0.75~0.99)*
シスプラチン: ECF +ECX40.1%(35.7~44.4)10.1ヵ月1
オキサリプラチン: EOX+ EOF43.9%(39.4~48.4)10.4ヵ月0.92(0.80~1.05)*
各レジメンのITT    
ECF n=26337.7%(31.8~43.6)9.9ヵ月1
EOF n=24540.4%(34.2~46.5)9.3ヵ月0.95(0.79~1.15)
ECX n=25040.8%(34.7~46.9)9.9ヵ月0.92(0.76~1.11)
EOX n=24446.8%(40.4~52.9)11.2ヵ月0.80(0.65~0.97) ‡

*95% CI上限1.23の除外により、同等であるとの結論できる。
‡ECFと比較してp = 0.025
ECFをEOF、ECXおよびEOXと比較したところ、奏効率に有意差は認められなかった(それぞれ41%、42%、46%および48%)。グレード3~4では、それぞれ36%、42%、33%および45%に血液学的毒性がみられず、42%、30%(p=0.008)、51%(p=0.043)および28%(p=0.001)に好中球減少症が認められた。

翻訳担当者 Nobara

監修 瀬戸山修(薬学)

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原文掲載日 

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