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3Dマンモグラフィ技術は、高濃度乳房を有する女性の検診に有用

高濃度乳房で乳がん高リスクの女性の多くで進行がんが減少

デジタル乳房トモシンセシス(DBT)と呼ばれる3次元画像技術による乳がん検診は、従来のデジタルマンモグラフィと比較して、多くの女性にとって利点がないかもしれないが、一部の女性にとっては進行がんの診断を減らす可能性があることが、6月14日発行のJAMA誌に発表された新しい研究により明らかになった。

2011年に米国食品医薬品局(FDA)がDBT装置の販売を初めて承認し、現在ではほとんどの乳房検診センターでトモシンセシスが受けられるようになった。低線量のX線で乳房を正面と側面から撮影する標準的なデジタルマンモグラフィに対し、トモシンセシスは多方向からX線で乳房の撮影をし、3次元画像を組み立てる。

40歳から79歳までの女性504,427人を対象にした今回の研究では、高濃度乳房(デンスブレスト)で、乳がんリスクが平均より高い人にとって、DBTが有用であることがわかった。

「進行乳がんの診断の減少という点において、ごく一部の女性(われわれの研究では3.6%)では、明らかにDBTが有用となります」と、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の医学および疫学・生物統計学の教授で、JAMA研究の筆頭著者であるKarla Kerlikowske医師は述べる。

特定のリスクプロファイルに有用

進行乳がんとは、腫瘍が大きかったり、リンパ節に転移したりしている乳がんを指す。こういった乳がんでは手術や全身治療が必要となるが、進行する前に検診で乳がんを発見することで、乳がんによる死亡を回避することができる。

本研究の著者らは、DBTは、特定のリスクプロファイルを持つ女性にとって、より有用であることを発見した。研究者らは、乳がんサーベイランス・コンソーシアム(BCSC)のデータを用いて、検診結果を比較した。対象者は、BCSCのリスク評価ツールと検診時に測定した乳腺濃度から、がんリスクカテゴリーに分類された。

高濃度乳房ではなく、乳がんのリスクが低~平均程度の女性では、約44%においてDBT検診によって偽陽性結果が減少し、結果として、がんの検出につながらない乳房生検の数を減らすことができた。乳房の線維腺が散在、または不均一に高濃度で、さらに乳がんリスクが平均より高い29%の女性において、DBT検診は、乳房内の小さな浸潤性乳がんの検出率が高かった。これは、DBTはデジタルマンモグラフィよりも早期に多くの乳がんを発見したことを示唆している。

しかし、多くの群においては、進行がんの診断率に統計的に有意な差はなく、全体でも検診と検診の間に診断されたがんや、マンモグラフィで見逃されたがんの診断率に有意な差は認められなかった。

本研究は、早期浸潤がんの発見率と進行期乳がんの診断率(検診での発見、または通常の検診より一年以内の発見)を、2つの検診技術によって比較したこれまでで最大のものであると、Kerlikowske氏は指摘する。腫瘍が進行した状態で診断されるのは、前回の検診で既に存在していた腫瘍を発見できなかったことが原因であることがある。しかし、進行性の腫瘍は、推奨されている検診間隔の間に発生し、症状が現れることにより診断されることもある。

検診のメリットとデメリット

乳がん検診はメリットだけでなく、デメリットもある。不安をあおる偽陽性結果 (マンモグラフィ検診では異常所見が得られ、精密検査によってがんではないと判定される)や、将来的に成長して浸潤性がんと診断されることもないような、乳管に限定した小さな腫瘍を取り除くための、医学的に侵襲的な処置や治療につながる可能性がある。

マンモグラフィ検診を受けるべき年齢や間隔に関する標準的な検診勧告は、乳がんリスクが平均的と考えられる大多数の女性(例えば、遺伝性乳がん遺伝子や若年時放射線治療歴のない女性)に向けられたものである。しかし、研究者や臨床医が検診の推奨を個別化するための新しいリスクモデルを開発する際、高濃度乳房などのがんリスクが高い可能性のある他の要因にも留意している。

マンモグラフィの画像上、不均一または極度に高濃度の乳房、あるいは不透明な乳房を持つ女性は、結合組織と乳管組織の割合が高い。腫瘍も同様に不透明に見えるため、乳房が密集していると画像診断で発見されない可能性が高くなる。DBTは3次元的であるため、高濃度乳房である女性でも腫瘍をより多く早期に発見できる手段として考えられている。

Kerlikowske氏らの以前の研究で、乳腺密度が75%以上の閉経後女性は、乳腺密度が25%以下の女性に比べ、5年以内に乳がんと診断されるリスクが3〜4倍であることが判明している。

「DBTは、高濃度乳房の女性の乳がん検出を改善し、偽陽性を減らすことを期待して開発されました」とKerlikowske氏は述べた。「全体としてDBTでは、スクリーニングの間隔の間に腫瘍が現れるリスクや、スクリーニングで見逃されるリスクは減少しないことを私達の研究は示しています。今回の研究では、乳腺濃度が高く、乳がんリスクが平均より高い女性の進行がんの診断が減少し、乳がんリスクが平均より高い女性の早期がん発見が増加しました。この事実は、DBTにより、特定の女性グループにおいて、悪性度の高いがんが進行する前に、早期に発見できる可能性を示唆しています」。

資金提供:

この研究の主な資金提供者は以下のとおり。Patient-Centered Outcomes Research Institute、National Institutes of Health (Grants P01CA154292 and U54CA163303) および Agency for Healthcare Research and Qualityなど。

著者:

Yu-Ru Su、Diana S.M. Kaiser Permanente Washington Health ResearchのEllen S. O’Meara氏、バーモント大学のBrian L. Sprague氏、Dartmouth College and Norris Cotton Cancer CenterのAnna N. A. Tosteson氏。A. Tosteson(ダートマス大学・ノリスコットンがんセンター)。ユタ大学のTracy Onega氏、ノースカロライナ大学のLouise M. Henderson氏、イリノイ大学のNila Alsheik氏、Michael C.S..Bissell、Diana Miglioretti(カリフォルニア大学デービス校)、Christoph I. Lee(ワシントン大学・ハッチンソンがんアウトカム研究所)。Migliorettiは、カリフォルニア大学デービス校の研究員でもある。

 

監訳:河村光栄(放射線科/京都桂病院)

翻訳担当者平沢沙枝

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