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ASCO22発表(2):乳がん内分泌感受性検査/早期乳がん術後療法

【3】内分泌感受性検査が、HR陽性乳がん患者に対するdose-dense化学療法の有益性を予測

エストロゲン受容体(ER)陽性乳がんの内分泌感受性を測定する新しいゲノム検査は、ER陽性乳がんと診断された患者のうち、通常よりも高い頻度で投与 を行うdose-dense化学療法(短い間隔で投与する投与方法)の方が、dose-denseではない化学療法よりも有益となる患者を特定できる可能性があることが、ダナファーバーがん研究所による研究で示された。

研究者らは、SET2,3と呼ばれるバイオマーカーのスコアが低い(内分泌抵抗性を示す)ER陽性乳がん患者は、スコアが高い患者に比べて、dose-dense 化学療法から得られる有益性がはるかに高いことを明らかにした。この結果は、閉経前の女性だけでなく、閉経後の女性にも該当する。

今後の研究で確認されれば、このバイオマーカーは、ER陽性乳がんと診断された患者のうち、どの患者が dose-dense 化学療法に最もよく反応するかを特定する最初の検査の基準となり得ると、発表者であるOtto Metzger医士(ダナファーバーがん研究所)は述べる。

SET2,3(内分泌療法に対する感受性)指標は、エストロゲンおよびプロゲステロン受容体のシグナル伝達に関わる遺伝子の活性度を測定し、細胞増殖に関わる遺伝子を除外する。高いSET2,3スコアは、内分泌感受性が高いことを示しており、この場合、術後内分泌療法がより有効である可能性がある。

今回の新たな研究では、CALGB9471試験に参加したER陽性乳がんの女性の腫瘍サンプル682個を対象にSET2,3検査を実施し、dose-dense化学療法と従来の化学療法を比較した。(dose-dense化学療法では、3週間に1回ではなく、2週間に1回の頻度で化学療法を行う。)

研究者らは、内分泌感受性が高く、SET2,3スコアが高い患者は、感受性の低い患者に比べ、再発までの期間が長く、全体としても長生きすることを発見した。さらに、SET2,3は、よく使用されているPAM50と呼ばれる腫瘍細胞増殖のゲノム検査よりも、はるかに優れた患者の予後指標であることがわかった。

また、SET2,3が、手術可能な乳がんに対する術後dose-dense化学療法からより大きな効果が期待できるER陽性乳がん患者を同定する検査へのニーズを満たすかどうかを検討した。

結果によると、SET2,3は、ER陽性乳がんと診断された患者のうち、再発の可能性がきわめて低い患者を特定する。SET2,3は、転帰を予測する機能と、dose-dense化学療法からより大きな効果が得られる患者集団を特定する性能はPAM50を上回った。

これは、乳がんの診断を受けた患者の転帰を予測し、治療法を調整するために内分泌感受性を評価することの重要性を強調するものであるとMetzger医師は述べる。

タイトル:エストロゲン受容体陽性(ER+)がんにおける、予後に関する内分泌活性(SET2,3)の測定およびdose-dense(DD)化学療法の有益性の予測:CALGB 9741(アライアンス)

アブストラクト505

発表者Otto Metzger医師

3)

【4】早期HR陽性/HER2陰性乳がん患者に対する術後療法の、今後の臨床試験への指針を示す研究

早期高リスクHR陽性/HER2陰性乳がん患者に対する術後ホルモン療法を十分に評価するために、積極的治療終了後少なくとも5年間、患者を追跡する必要があることが、ダナファーバーがん研究所のMeredith Regan理学博士が報告した試験で示された。また、このような患者に対する術後療法を計画する場合、腫瘍専門医は、単独または併用で利用可能な治療の利点と毒性を慎重に検討する必要があることも示された。

この研究では、高リスクのホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2)乳がん患者の術後療法における薬剤(CDK4/6阻害剤)の早期および短期有効性の問題点について明らかにしようと試みた。このような阻害剤を内分泌療法(ホルモン陽性の乳がんからエストロゲンを取り除くタモキシフェンやアロマターゼ阻害剤などの薬剤)と併用したいくつかの臨床試験は、初期結果が一致しておらず、長期の結果はまだ得られていない。

monarchE試験では、CDK4/6阻害剤であるアベマシクリブと内分泌療法の併用により、治療後2~3年の生存率が向上することが明らかになり、早期の高リスクHR陽性/HER2陰性乳がん患者に対するアベマシクリブの承認につながった。Penelope-B試験でもCDK4/6阻害剤パルボシクリブと内分泌療法の併用による早期の治療効果が認められたが、その効果は4年程度で消失している。3つ目のPALLAS試験では、パルボシクリブと内分泌療法の併用による生存率の向上は認められなかった。

Regan氏らは、この知見を考察するため、非転移性乳がん患者の術後療法としてタモキシフェンとアロマターゼ阻害剤を比較した3つの先行臨床試験(BIG 1-98、TEXT、SOFT)のデータを用いた。これらの試験には合計1万人以上の患者が登録されたが、5年後の結果しか報告されていないため、長期的な結果を知ることができた一方、これらの薬剤が短期的にどのように作用したのかという疑問が残された。

また、これらの試験には高リスクと低リスク両方の乳がん患者が含まれていたことから、研究者らは、CDK4/6阻害剤を含む試験と比較するために高リスク患者に特化してデータを抽出し、これらの患者の治療後数年間における経過に注目した。

2〜3年の追跡調査で、BIG 1-98、SOFT、TEXT試験における内分泌療法の有益性は、monarchE試験におけるアベマシクリブ+内分泌療法と基本的に同様であることがわかった。3つの内分泌療法試験では、治療効果が2年ではなく5年で減少することもあったが、Penelope-B試験の4年で減少したほどではなかった。

内分泌療法の試験において、治療直後の数年間に注目することで、その期間のがん再発リスクについて新たな知見を得ることができた。予測どおり、短期的にはリスクが比較的高いものの、その後5〜10年で着実に低下し、低い水準で維持されることが試験で示された。3つの試験で、最初の2〜3年間のリスクのパターンはそれぞれ多少異なっており、これは腫瘍専門医が患者と治療計画を決定する際に注意すべき点である。

タイトル:高リスクサブグループにおける乳がん術後内分泌療法の過去試験での早期治療効果:BIG 1-98、SOFT、TEXTの再解析

アブストラクト508

発表者:Meredith Regan理学博士

翻訳平沢 沙枝

監修下村 明彦(乳腺・腫瘍内科/国立国際医療研究センター乳腺腫瘍内科)

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