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米国がん対策法署名50周年におけるASCO声明

50年前、新年まで数日の時、リチャード・ニクソン元大統領が、「米国がん対策法(NCA)」に署名し、がん撲滅を明確な国の優先事項とした。(*サイト注:NCI動画『1971年ニクソン大統領「がん対策法」に署名』『時間の贈り物-がん対策法50周年』参照)

(ニクソン大統領が)本法案に署名して法律が成立した当時、私たちの分野の先駆者たちはすでにかなりの発見をしていたが、有効な治療法はほとんどなく、検診や予防の方法も今より限られていた。そのため、がんと診断された人のうち、5年生存者はわずか2人に1人であった。米国がん対策法(NCA)によって、がん研究への持続的投資が始まり、腫瘍学分野全体が活気づいた。その(法案の)通過から半世紀が経った今、私たちは大きく前進し、がんとその原因を解明し、治療法を変えてきた。これらの洞察により、私たちは、予防、治療、緩和・支持療法、サバイバーシップに至るまで、がんに対する一連のアプローチ方法を変革してきた。がん対策法の直接的な成果として、今日、がんと診断された人の3分の2以上が、5年以上生存しており、生存転帰は年々さらに向上している。

私たちは、信じられないほどの革新が毎日起こっている世界に住んでいる。患者とがんについて、臨床試験からだけでなく、リアルワールドで各患者が治療にどのように反応するかに関する膨大なデータからより多くのことを学んでいる。データセットが拡大し、がん研究がより強固になったことにより、私たちは多くの患者に、より精度の高い個別化治療を提供することが可能になった。これは、副作用を少なくし、より良い結果とより長い寿命をもたらすことを意味する。これらの進歩のいくつかは、過去1年間のCOVID-19に対する効果的な治療法の迅速な普及にも貢献しており、私たちの投資が社会に価値を還元し続けるという注目すべき方法を示している。

私は、目の前にある可能性に期待し、かつ興奮しているが、すべてのがん患者が、過去半世紀における予防、早期発見、治療、ケアの飛躍的進歩の恩恵を受けているわけではないという現実に対しては冷静である。米国と世界の両方において、進歩は不均一であり、根深い格差が残っている。公平性を高め、アクセスへの障害を取り除くためには、すべての利害関係者(政府およびがん治療提供者、業界、患者に至るまで)が協力して働き、境界を越えて、診断、ケア、サバイバーシップの一連の流れにおいて、イノベーションを起こす必要がある。COVID-19の世界的大流行を通じて浮き彫りになった課題の中には、近い将来、患者間の格差を是正するのに役立つと思われる、患者に対する新しいアプローチ方法とケア方法につながったものもある。

このような記念日は、私たちにじっくり考える機会を与えてくれる。進歩のペースが加速している中で、がん治療は今日から50年後にはどのような姿になっているのであろうか。ASCOでは、すべてのがんが予防または治癒され、すべてのサバイバーが健康であるという世界を思い描いている。

がん撲滅という新たな取り組みをもって協力すれば、そのビジョンを達成し、患者一人一人にとってのがん治療の効果、安全性、利用しやすさ、公平性を高めることができると期待している。その取り組みで、私たちががんを撲滅することができる可能性がある。

翻訳畔柳祐子

監修辻村信一(獣医学・農学博士、メディカルライター) 

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